「こんなんじゃないんです!」
コント中にハナコ・岡部は観客に向かって禁断の一言を言ってしまった。
突然ハプニングが起きたときに瞬時に対応して笑いに変えることができるか、という『くりぃむナンチャラ』で行われたドッキリ企画「THEハプニングコント」。YouTube用のネタ番組の収録と偽り、ネタ中に相方が仕掛け人になってハプニングを仕掛けるのだ。岡部に用意されたハプニングは「菊田が岡部のケツを蹴り上げる」「菊田と秋山がマジゲンカ」「菊田が秋山にピストルを撃って倒れる」というもの。これらを菊田と秋山がくりぃむしちゅー有田の指示で行っていく。一つ目の「ケツを蹴り上げる」はコント上も菊田が岡部をずっと怒っている人という設定のため、多少の戸惑いだけで対応できたが、「マジゲンカ」の指示では、仕掛け人であるはずの二人もアドリブが効かず、全員がパニックになってしまう。さらに、世界観をぶち壊すピストルが持ち出されると「どうすんの?」と岡部が二人に向かって言ってしまう始末。遂には冒頭の言葉を言って「大変申し訳ありませんでした」と頭を下げて幕を閉じた。これだけ想定外のことが起これば無理からぬことだろう。どうしていいかわからなくなる三人の可愛げが爆発していた。
一方で、同様のドッキリを行ったチョコレートプラネットは、長田が松尾の仕掛けるハプニングをコントキャラのまま見事にアドリブで対応。いまはIKKOのモノマネなどでブレイクしているが、元々はキャリアの長い職人肌のコント師。さすがの対応力だった。舞台をやり終えると長田が「IKKOさんやりすぎて頭おかしなってるやん」と精神的に壊れてしまったのではないかと本気で心配しているのが印象的だった。
最後は、さらば青春の光。東ブクロが森田に「くしゃみが止まらなくなる」「ヘッドロックを決める」「パンツ一丁になる」というハプニングを仕掛けるのだが予想外の展開に。東ブクロがくしゃみをしだすと、真顔で睨みつけ、もう一回最初からやり直そうと小声で促す。しかし、東ブクロが「ホンマにパワースポットですか?」など決まり台詞を振ると、ギリギリでキャラに戻りコントを再開させるのだ。その逡巡する森田の表情の変化がおもしろく、「ずっと見てられる」と「くしゃみ」の指示を繰り返す有田。遂にはそのまま他のふたつの指示をせずに終わってしまったのだ。
この番組の企画は、芸人を追い込み、芸人の生理や関係性をえぐり、うっかり芸人の本質に迫ってしまうことが少なくない。まさに「THEハプニングコント」もそうだった。ハプニングへの対応は三者三様。しかし、三組それぞれの愛らしさをあぶり出していた。
INFORMATION
『くりぃむナンチャラ』
テレビ朝日系 金 26:20~26:50
https://www.tv-asahi.co.jp/nanchara/