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免疫機能が低下して、感染症などにかかりやすくなる

 この「白血球をつくる細胞ががん化する」ことから白血病という病名が付いたと思われがちだが、実際は違う。この病気が進行すると、血液中の白血病細胞が多くなり過ぎて、本当に血が白っぽく濁ってくるのだ。もちろん、現代ではそこまで悪化する前に治療が行われるので、血液内科医でも「白い血液」を見ることはほとんどなくなった。

 白血球は、人間の体の中に入り込んできた細菌やウイルスを排除する「免疫」という働きを担っているが、「がん化した白血球をつくる血液細胞」が増え続けると、白血球本来の仕事ができなくなり、免疫機能が低下して、感染症などにかかりやすくなり、悪化しやすくもなる。

 また、「がん化した白血球をつくる細胞」だけが際限なく作られることで、赤血球や血小板など、「正常の血液成分」の生産が滞るようにもなる。赤血球が減ると貧血に、血小板が減ると僅かなことで出血を招き、止まらなくなる。

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 そのため、白血病で命を落とす場合でも、必ずしも白血病そのものが死因となるわけではない。白血病はあくまでベースにあって、実際に死因となるのはその先にある肺炎や敗血症、脳出血などだ。

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「寛解導入療法」と呼ばれるこの治療法

 このように、病気のメカニズムを見ていくと、確かに恐ろしい病気なのだが、前述のように治療法の開発が進んでいる。

 たとえば急性骨髄性白血病であれば、まず抗がん剤で、見える限りのがんを叩く。「寛解導入療法」と呼ばれるこの治療法について小松医師に解説してもらう。

「広い原っぱに例えると、最初の抗がん剤治療で“見た目”の雑草(白血病細胞)を全部殺すのが寛解導入療法。これがうまく行くと、見た目には雑草が一本もないきれいな土になるが(これを完全寛解と呼ぶ)、実際には土の下に雑草の根っこが残っていて、しばらくするとまた雑草の芽が出てくる。これが“再発”です。なので、見た目に草が見えなくなった後に、さらに抗がん剤を使って“地固め療法”という治療を行う。これで本当に雑草の根まで根絶できれば“完治”となります」

 しかし、この治療の成果には個人差が大きいと小松医師は言う。

「同じ急性骨髄性白血病でも、その中にまた色々なタイプがあって、それぞれで薬に対する反応性も異なる。一概に『これを使えば治る』と言い切れないのも事実です」