岩合監督「自分が気に入ったカットはすべて入れた」
主役のじいちゃんを演じるのは、監督が「この人しかいない」と口説き落とした、落語家の立川志の輔。愛猫タマ役には、100匹以上の中からキジトラ柄のベーコンが選ばれた。決め手は人懐こさ。
「テストで、ベーコンは志の輔師匠の横をゆっくり歩きながら、顔を2回も見上げたんです。思わず『それ本番でお願いします!』と叫びました」
猫は自由奔放なイメージが強いが、最後の場面では、300メートル以上一緒に歩いたというから驚きだ。そんな1人と1匹の仲の良さは、画面の外でも一緒。カメラがまわっていなくても、師匠のそばにはいつもベーコンがいた。
「気持ちよさそうにしてると思ったら、バリバリと膝に爪とぎされたり、柴咲コウさんが来た途端そっちに走って行かれて苦笑したり。まさにタマとじいちゃんでした」
自分が気に入ったカットはすべて入れた、という監督の言葉通り、映画では猫たちののびのびとした表情や動き、いびきや喉の音まで存分に楽しめる。美しい島での猫と人とのやさしい営みを、ぜひスクリーンで堪能してほしい。
いわごうみつあき/1950年東京都生まれ。地球上のあらゆる地域をフィールドに活躍する動物写真家。日本人として唯一人、米「ナショナルジオグラフィック」の表紙を2度飾った。2012年より始まったNHK BSプレミアム「岩合光昭の世界ネコ歩き」でも人気を集め、著書も多数。
INFORMATION
『ねことじいちゃん』
2月22日(金)より全国ロードショー
http://nekojii-movie.com/