『ビジネスモデル2.0図鑑』(近藤哲朗 著)

 ヒットした商品やサービスのビジネスモデルを100個まとめて図解した、分厚いビジネス書が売れている。

「著者がWebに掲載した記事を見て、執筆のオファーをしました。ネット発の書籍は本ならではの付加価値をつけることが大事。その点で今回、『100個』というボリューム感と、『なぜこのビジネスモデルを取り上げるのか?』の基準を明確にし、体系的な構成にすることを意識して編集しました」(担当編集者の田中怜子さん)

 その過程で生まれたのが「逆説の構造」というキー概念。必須条件とされてきた「定説」を覆すことが儲けを生むという発想だ。例えばファミレス業界には、メニューは多彩な方がいいという「定説」がある。だがサイゼリヤはメニューを厳選し、その分、本格的な食材を安く提供する「逆説」で成功した。本書の成立過程も、この構造を持つかのよう。

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「この本は、SNSで著者が立ち上げたコミュニティでの共同執筆で出来上がりました。官公庁の職員やエンジニアなど多様な立場の50人が参加して、社会性・経済合理性・創造性の観点から図解を議論する。最終的な掲載のジャッジは著者が行いますが、そこでも同じ基準を用い、主観に頼らない。斬新な執筆スタイルでした」(田中さん)

 刊行前からネットで全文公開を続ける仕掛けも、売り上げに寄与。新しいことづくしの刺激的な一冊だ。

2018年9月発売。初版1万部。現在8刷5万6000部

ビジネスモデル2.0図鑑

近藤 哲朗

KADOKAWA

2018年9月29日 発売