心理サスペンスドラマ『絶対正義』(東海テレビ・フジテレビ系)で正義のモンスター役を演じる山口紗弥加さん。
前クールの『ブラックスキャンダル』では芸能界を追放され復讐に燃える元女優を演じ、2作連続で「狂気の役」を演じている。そんな山口さんを俳優の佐野史郎さんが「振り切った演技がスゴい」と絶賛しているという。エキセントリックな役柄が続く山口さんにその心中を聞いた。(全3回の2回目 #1、#2も公開中)
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松井玲奈ちゃんを本当に嫌いになってしまいそうで
――『ブラックスキャンダル』で初めて主演をやってみて、どうでしたか。不倫スキャンダルで芸能界を追われた元女優という役でした。
山口 それはもう、大変でした。復讐のお話ですからね。過去に経験がないくらい濃密な2ヶ月を過ごした結果、精神的に参ってしまって。ドラマの中の話とはいえ、松井玲奈ちゃんを本当に嫌いになってしまいそうで……大変、危険な状態でした(笑)。
――松井玲奈さんは復讐における最大の理解者という役どころでしたが、途中で裏切られ、それがどんどんひどくなって……。ふたりで取っ組み合いをするシーンもありましたね。
山口 取っ組み合いは2人とも本気でやりましたよ。ほぼ生音だと聞いています。その辺りからですね、撮影中の移動車の中で、意味もなく涙したり、気分の浮き沈みが激しくて。でも、初めから『ブラックスキャンダル』は芸能界の暗部の物語で、私自身もドキュメンタリーを撮ってもらう覚悟でいたので(笑)、地獄に突き落とされる準備はできていたつもり。どこか楽しんでいたような節もあるんですけど、撮影が終わってみたら、やはり、抜け殻でした。
――見ている方も力が入りっぱなしで、最後まで何が起こるか分からないのでずっと目が離せませんでした。
山口 私は廃人になりました(笑)。次の仕事もあるのに、心が動かない、身体も動かない。一度すべてを洗い流したい。だから滝行に行こうと思ったんです。でも、日本の冬の滝行って苦行ですよね。
耐えるんじゃなくて、解放したい。癒されたい。新しいものを吸収したい。TSUTAYAに飛び込んで、旅行、写真集のコーナーを片っ端から見て。そこでバリ・ヒンドゥー教の浄化の儀式「ムルカット」を知りました。あっ、これだと。黒魔術すら洗い流してしまうと言われている沐浴、生まれ変わりの儀式とも言われているんです。お休みをもらっていたので、すぐにバリに飛んでしっかり浄化の儀式を受けてから、東南アジアを北上するように周りました。