昨今、狩猟に対する注目が高まっているようだ。増加する鳥獣被害に対して、国や自治体が猟師を増やそうとあれこれ活動しているし、狩猟をテーマにしたマンガ作品も多く発表されるようになり、狩猟に関心を持つ人も増えているのではないか。

想定にない様々なトラブルに見舞われた

 実際、2012年頃に狩猟関連の本を探したことがあるが、入門書や解説書はほぼない状況で、仕方ないので大日本猟友会に『狩猟読本』(書店流通無し)を注文した。それが今では、狩猟の入門書は数多く出版され、「狩猟コーナー」を作っている本屋もあるくらいだ。急激な変化に驚かされる。

筆者の猟銃(空気銃) スペインのコメタ社製オリオン

 筆者も2011年に長野で同乗者が運転する車がシカと接触事故を起こしてから狩猟に興味を持ちはじめた。終戦直後のかすみ網猟(違法)の実態を調査したり、パチンコ猟(無免許でも法の範囲内で可能)でヒヨドリを仕留めるなど実際に狩猟もしてみたが、やはりここは銃猟がしたいと思い立ち、遂に昨年猟銃を手に入れ、初の銃猟に挑んだ。

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 今でこそ、狩猟を始めるに参考になる本やネット情報は山ほどある。しかし、筆者は銃を手にする以前から実際の猟の現場に至るまで、想定にない様々なトラブルに見舞われた。これが筆者固有の事例かは分からないが、本に書かれていない初心者狩猟者の1年目の「想定外」の記録として残したいと思う。

銃の許可が下りない

 銃猟免許の筆記・実技試験を滞りなくパスし、警察の初心者講習もクリア。そして、空気銃を取得しようと2013年春に警察に申請したところ、1年近く回答を待たされた上、不許可の通知を受けた。筆者の発達障害を理由にしたものだが、法律のどこをひっくり返しても発達障害を欠格事由とする規定はない。腹立たしかったが、いったんその場は引き、弁護士・医師の力を借りて2017年に再申請したところ、また1年近く待たされたが無事に許可が下りた。

猟銃・空気銃所持許可証

 筆者の場合は特殊な事例(発達障害でも普通に許可が降りた猟師がいた)とみられるが、銃所持の許可が下りない基準については、銃砲刀剣類所持等取締法第五条に定められている。18歳に満たない者(空気銃のスポーツ選手は14歳未満)や破産者、政令で定める精神・意識障害者、アルコール・薬物中毒者の他、DVやストーカー行為を行った者は警告や命令を受けてから3年以上経過していない者らが該当する。

 また、許可の審査にあたっては、警察が申請者の近隣住民に聞き込みを行う。警察が突然訪問し、あれこれ自分の事を聞かれるのはご近所に申し訳ない想いもあるし、なにより申請者自身に心理的ダメージが大きい。自身の申告や警察当局の調査を経て、銃所持許可が決まる。

 銃を持つ障害は法的なものだけではない。筆者は空気銃を申請したが、これは居住するマンションの規約で火薬類の保管が禁じられているのも理由の一つだ。筆者の知る例でも、散弾銃取得後に大家と揉め、結局手放した人がいる。また、アパートに保管はできないので、遠く離れた銃砲店に預けている人もいる。この点は多くの人に障害になると思われ、集合住宅の方で銃取得を考えられている方は、規約をあらかじめ確認された方がいいだろう。