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開発中の中華麺とうどんを振舞ってくれた
菊地さんに話を聞いていると、いつも遠くを見るような鋭い視線を放つ。駆け抜けた17年。日本そばの歴史を変え、この時代に新しい食文化の扉の鍵を作った手腕は特筆すべきものがあると思う。
「港屋」が度々登場する漫画「島耕作」の作者、弘兼憲史氏からは、「お疲れ様」と労いの言葉を頂戴したそうだ。
インタビューを終えて帰ろうとしたら、菊地さんが今開発中の中華麺とうどんを振舞ってくれた。大釜に水をはり、強力なガスコンロに点火し、冷水装置を使って、機材の説明をしながら流れる様な所作で作ってくれた。その美しい麺とつけ汁は、さすが菊地さんの完成度だ。満員だったお店の記憶を思い出しながら味わうことができた。
人生には隆盛がある。菊地さんはまだ45歳と若いし、勢いがある。これからの菊地剛志さんの独創的展開を楽しみにしていきたいと思う。本当に、お疲れ様でした。
なお、港屋2(Minatoya 2)が大手町の星のや東京で、密かに営業している。
※取材協力
株式会社KIKUCHI Art Gallery
TEL:03-5789-5421
HP kikuchiartgallery.com
写真=鈴木七絵/文藝春秋