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 時代はかわって、こんどは保守vs.システム屋となる。「新元号の制定と発表は新天皇が即位する5月1日以降にすべき」という保守系の議員たちと、「改修・検証に時間はいくらあってもいいのだから4月1日でも遅いくらいだ」というIT業者だ。

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システム改修は順調?

 そんななかで改元までおよそ1ヶ月半となった3月14日の午後に、NHKが配信したニュースが話題となる。

 12時56分「新元号決定まで2週間余 情報システム改修は順調 政府」
 

 15時34分「改元 システム改修後のテスト 企業の約半数が未計画」

 政府の連絡会議でシステム改修は順調だと報じられたわずか2時間半後に、経産省の役人が国の調査にもとづいて改修の遅れに対しての注意をうながすニュースが流れたのである。真逆の報道がなされて、ネットでは前者を「大本営発表」と揶揄するむきもあった。そこにあるのは政府のメンツである。なにしろ保守系議員にもIT業者にも配慮して、1ヶ月前発表としたのだ。順調でなければ困る。

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 上に立つ者のメンツのために裏方が苦しむのはこの世の常である。おもえば誕生初日からトラブルに見舞われた、みずほ銀行のシステムも、もとをただせば合併する3行がそれぞれのメンツから譲らずにいたことに起因すると言われる。

金融庁からの業務改善命令の発動を受け、記者会見する(左から)工藤正みずほ銀行頭取、前田晃伸みずほホールディングス社長、斎藤宏みずほコーポレート銀行頭取(東京・日本橋本石町の日銀記者クラブ)©時事通信社