32歳でJ1キャリアハイの12点を挙げ、今シーズン、新天地セレッソでの活躍が期待される都倉賢。

 以前からブログで読書について発信し、最近ではTwitterやインスタでサッカーのことはもちろん、奥さんや娘さんとの日常も積極的にアップ。さらに最近ではオンラインサロンも立ち上げたという。積極的に自分から発信する異色のJリーガーに話を聞いた。

(全2回の2回目/#1より続く

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セレッソ大阪の都倉賢選手

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カーネギーの「道は開ける」が教えてくれたこと

――30歳を過ぎてからの本格ブレイク。都倉選手にとってプロ人生で最も苦しかった時期というのは?

「結果を出せなかったヴィッセル神戸時代(2010年から4年間プレー)ですかね。僕の力不足が大前提のうえですけど、理詰めのところで折り合いをつけていくにはどうしても難しさがあってチームも自分もなかなかうまくいかなかったと思っています」

――その苦しいとき、神戸を離れてデンマークのクラブのトライアウトに参加するなど次のチャレンジを模索していた時期だと思います。自身のブログではデール・カーネギーの「道は開ける」を紹介しています。自己啓発の大ベストセラーですが、「悩んだとしても何に悩んでいるのかを直視し、建設的に解決方法を模索し覚悟を決めて実行に移せばほとんどのことが解決する」と、この本を通して考え方が整理できたとブログで述べています。

「問題に直面すると、人ってどうしても不安になるじゃないですか。でも問題の種類は、未来に対するものなのか、過去に対するものなのか、解決できる問題か、自分がいくら悩んでも解決しない問題か、などとまず問題を混ぜこぜにしないで、どの種類なのかを客観的に判断しなきゃならないとカーネギーの本は教えてくれています。今も問題が起こると、その考え方で対応するようにはしていますね」

 

――具体例を挙げてもらえると……。

「次の試合でもし点を取れなかったらどうしよう……とか、それを問題にしたって、今すぐ解決できないじゃないですか。試合をするまで分からないことですから。その不安は、問題にしなくていい、問題として考えなくていいというスタンスです」

――読書好きの一面もあって、ブログでは司馬遼太郎の「竜馬がゆく」など感銘を受けた本を紹介していた時期もありましたよね。

「人や本も、出会いって縁。たとえばAさん、Bさんの2人が同じ本を読んだとしてもAさんは内容が心に入ってきても、Bさんはそのアンテナがまだないから何も感じないかもしれない。僕はちょうどAさんのタイミングだったから、縁、出会いと捉えることができました。そういう意味ではカーネギーの本も必然的な出会いだったと思います。ただ昔は自分のブームでひたすら本を読んでいた時期はありましたけど、今は前ほど読めていませんね」