特殊な“条件”が揃わないと上にいけない女性たちを見て
──それまでのキャリアを捨てることや、子育てをしながら起業するということに躊躇はなかったのですか。
飯田 私は仕事が大好きで、ずっと「自分=仕事」という人生を歩んできたんですけど、それは仕事を通して自分が成長できるのが楽しかったからなんです。ただ、私のいた業界は、子どもがいてもいなくても同じように働くことが求められる厳しい世界で……。第一線で活躍している子持ちの女性もいましたが、「月に3桁万円のお金を使って子育てをすべてアウトソースしています」と公言する方や、パートナーが完全に「主夫」になり、産後2週間で復職、1週間の海外出張にも旦那さんが子連れで同伴してくれる方など、独身の人と同じように働ける特殊な“条件”が揃った人ばかり。「何かを犠牲にしないと、キャリア形成はできないのか」と諦めの気持ちが湧いてくるほどでした。
産休や育休が取りやすいよう、会社側も配慮してくれたのですが、私は仕事も家庭ももっと大切にできる環境で働きたかっただけなんです。ですから、そういう環境がないなら自分で作ろう、という思いで会社を立ち上げました。
離乳食で苦しい時に専門家がいたら……
──その後、お子さんの離乳食を通じて、「偶然を必然に変える出会い」の必要性を一段と強く感じるようになったそうですね。
飯田 私の子どもはとにかく食が細く、体重曲線がいつも標準ゾーンの最底辺でした。同じ月齢の子と比べてもすごく華奢で……。離乳食は、長い子育てのうちたった6カ月のことですが、子どもが離乳食を食べないのは自分のせいなんだろうと毎日悩み、本当に苦しい6カ月でした。
今、シェアダインでは離乳食のイベントなども行っているのですが、私と同じように離乳食で悩んでいるママが多いんです。そういう方たちに、「離乳食の初期・中期は、食べる練習をしている時期なので、ミルクさえ飲んでいれば栄養面で問題ないですよ」と専門家が話すことで、ママたちがほっとする場面もあります。私の時も、誰かがそう教えてくれたら、苦しい6カ月が楽しい6カ月になったんじゃないかと思います。