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「黒いかもめ」というとなんだか悪役っぽいけれど……

 現在の「かもめ」は、「白いかもめ」こと885系と、かつて鹿児島本線の在来線特急「つばめ」として活躍した787系電車で運行されている。787系はダークシルバーの直線的なデザインの車体で、「白いかもめ」に対して「黒いかもめ」「銀のかもめ」だ。783系は定期列車として佐賀発博多経由吉塚行きに残るほか、臨時列車として助人に来る。

こちらが通称「黒いかもめ」と呼ばれる787系

 博多~長崎間の「白いかもめ」は17往復。「黒いかもめ」は7往復。「黒いかもめ」というとなんだか悪役っぽいけれど、こちらはグリーン車にワンランク上の「DXグリーン」という座席がある。1つの列車に3席だけ。最大144度の電動リクライニングシートとレッグレストによって、ほぼ水平の姿勢になる。ほかに定員4名の個室もあり、リクライニングシートと3名分のL字型ソファでくつろげる。ビジネスマンに人気の車両だ。

「白いかもめ」のグリーン車は革張りのハイバックシート

「白いかもめ」の885系は普通車の一部も革張りシート、ほかは高級布張りシートがある。グリーン車はもちろん革張りのハイバックシート。デッキも広くて快適だ。全体的に快適性を向上した車両といえる。

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次の試練は長崎新幹線の開業

 日陰者の時代は遠い昔。「白いかもめ」と「黒いかもめ」のコンビは長崎特急の代表格になった。しかし「かもめ」には次の試練が待っている。長崎新幹線の開業だ。長崎新幹線はいまのところ、武雄温泉~長崎間をフル規格で建設し、新鳥栖~武雄温泉間は在来線を使う。フリーゲージ車両を使って博多~長崎間を直通運転する構想だったけれども、フリーゲージは技術面で問題があると見合わせになった。

 

 新鳥栖~武雄温泉間をフル規格新幹線またはミニ新幹線にする方向で調整しているが、決着しなければ武雄温泉駅で在来線特急と新幹線の同一プラットホーム対面乗換となる。博多~長崎間を直通運転すれば列車名は「かもめ」で異存はなかろう。しかし、武雄温泉を境に2つの列車を乗り継ぐとなれば、どちらが「かもめ」になるだろうか。

 歴史のある列車名「かもめ」を、ぜひ新幹線の列車に昇格したい。かつての姉妹列車で、現在は九州新幹線鹿児島ルートを走る「つばめ」と並ばせてあげたい。

 さてさて、「かもめ」の運命は如何に……。

写真=杉山秀樹/文藝春秋

※「特急かもめ」の旅の模様は、現在発売中の『文藝春秋』4月号のカラー連載「乗り鉄うまい旅」にて、計5ページにわたって掲載しています。

文藝春秋 2019年4月号

 

文藝春秋

2019年3月9日 発売