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「孤独に慣れろよ」と言われた長与千種が、いま180度違う考えを持つ理由

長与千種インタビュー#2

note

――保護や譲渡の活動って、具体的にどのようなものでしょう。

長与 保護したら、まずGPSを埋め込む。あとは去勢をちゃんとしてあげる、ワクチンを打ってあげるとかですかね。

 譲渡会のときは、ここの敷地を解放しているんですよ。

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素の自分を見せられるパートナー

――こうしたご活動は今後も続けていきますか。

長与 ずっと続けていきます。人間がしでかしたことは、人間がちゃんと元通りに戻さなきゃいけないので。他人がやったことに対してなぜ、って言われたらそこまでですけど、でも、ワンコには関係ないから。

 1週間前にも、お外が怖い子が来たんですよ。柏あたりでずーっと放浪してた犬で、はじめて抱っこしたときは、ブルブル震えていました。でも、最近は手をペロペロしてくれたり、お腹を見せてくれたり、「おいで」って言ったら来てくれるようになったり。

 名前は選手が順番につけていて、この前来た子は、選手が「笑顔(ニコ)ちゃん」って命名しました。「この子には笑顔がないので、うちに来たら笑顔がいっぱい出せるように笑顔(ニコ)ちゃんにします」って。

――選手の皆さんで育てているんですか?

長与 寮で一緒に住んでいるので、みんなで育てますね。ただ、育てられてる気がするけど、犬に(笑)。

 預かるのは今回2回目なんですが、犬の部屋に行くと、若い子が犬と一緒に寝てたりするんですよ。普通の女の子の部分を十分出させてくれる、素の自分を見せられるパートナーだと思いますね。現役時代の自分にとっても、犬ってそういう存在だったので。

 
 

「ちょっと仲間に入れて」って

――ちなみに、長与さんご自身も、選手のみなさんと一緒に住んでいるんですか。

長与 そうです。大きな部屋や個室を合わせて何部屋もあるので、割とバラバラに過ごしていますけどね。選手たちは寮のお風呂に入りにいくので、自分はあえて別の場所で入ります。

 あとは、若い子たちがわちゃわちゃしている時はあまり入らないようにしていて、どうしても自分が寂しくなった時だけ、「ちょっと仲間に入れて」って言っています。

――意外です!

長与 ほんとに言うんですよ(笑)。「寂しがりですね」って言われながらも、意外と入れてくれたりとかね。先輩だからどうこう、はないですね。外に出るときや、試合会場に入ったときは顔つきもまったく変わるし、厳しくするけれども、普段は全然。受け入れてほしいと思うので、こういう自分を。