5月1日、59歳の皇太子さまは新天皇として即位される。新元号は「令和」に決まった。この新元号は、天皇陛下には宮内庁の山本信一郎長官から、皇太子さまには西村泰彦次長から伝えられた。陛下は「いつものような表情」でお聞きになり、皇太子さまはにこやかなご表情で「わかりました」とお答えになったという(「朝日新聞」2019年4月2日)。いかにも皇太子さまらしいエピソードだと感じた人は多いのではないだろうか。

20年前、皇太子さま39歳のお誕生日に際してのご近影 宮内庁提供

 折々のご発言や文章には、人々に皇太子さまの温和なご性格を感じさせるものがあり、時に笑いを誘うようなユーモアが織り交ぜられていることもある。戦後の日本を大きく「改革」したと言える天皇皇后両陛下とは、また違った「象徴」としての道を歩まれるのではないかと、私は考えている。

現代的なライフステージの変化を経験された皇太子さま

 天皇皇后両陛下は、それまでの慣習にとらわれず、お手元で3人のお子様方をお育てになると決められた。第一子である浩宮さま(当時)がお生まれになった時は、週刊誌などのメディアが、健やかなご成長ぶりを次々と報じている。東宮御所を訪れる人々も、浩宮さまのお顔を一目拝見したい、という気持ちでいっぱいだったのではないだろうか。今上陛下が「国民と近い皇室でありたい」という姿勢を示されてきたように、皇太子さまご自身も結婚や子育てなど、現代的なライフステージの変化を経験されてきた。

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皇太子ご一家(当時)のご近影 宮内庁提供

 皇太子さまのご結婚をめぐっても、メディアによる報道は白熱した。1985年11月、皇太子さまがイギリス・オックスフォード大学マートン・カレッジの大学院の留学から帰国された際に語られた“理想の女性像”は、今読み返しても深い印象が残る。