文春オンライン
令和だけど“昭和の匂いのする2人” 岩井ジョニ男と壇蜜が語る「ダメだったあの頃」「まわりがみんな敵だったあの頃」

令和だけど“昭和の匂いのする2人” 岩井ジョニ男と壇蜜が語る「ダメだったあの頃」「まわりがみんな敵だったあの頃」

岩井ジョニ男×壇蜜対談 『幻の哀愁おじさん』より転載

note

タモリさんの家の玄関前で正座して待っていると……

壇蜜    すごい行動力ですね。

ジョニ男    このチャンスを逃すまいと必死でしたから。玄関前で正座して待っていたら、あっさり門前払いされまして。でも、これは試されてるんだと自分に言い聞かせて、それから毎日、1ヶ月ほど通い詰めたんです。そうしたらついに、タモリさんが「明日の昼に部屋に来てくれ」って声をかけてくださって。

©キンマサタカ(ジョニーズ) ジョニスタグラム全6枚の3枚目

壇蜜    いよいよその時が。

ADVERTISEMENT

ジョニ男    と、誰でも思いますよね。翌日、弟子になる気まんまんで部屋に伺ったら、バスローブにサングラス姿で現れたタモリさんは、「この世界はどんなに面白くても嫌われるような奴じゃ駄目だし、どんなにつまらなくても好かれる奴なら成功するかもしれない。すべてはフィーリングだから、それを教えることはできないのよ。だからさ、もう2度と来ないで。近所迷惑だから」って。

壇蜜    さすがにこたえたでしょうね。

ジョニ男    はい。でも、地元に戻って仲間とやけ酒を飲んでいるうちに、やっぱりタモリさんはいいこと言うなぁ、って諦めきれなくなってしまって。それで懲りずに、翌日も行って、「昨日の言葉に感動してまた来ちゃいました」って言ったら、タモリさんは玄関先で膝から崩れ落ちてましたね(笑)。

©杉山拓也/文藝春秋

壇蜜    不屈というか、そこまでいくともう半ばストーカーに近い(笑)。

ジョニ男    その日からさらに20日通ったら、さすがにタモリさんも根負けしたみたいで、「しつこいからもういいや」って、やっと弟子入りが叶いました。粘り勝ちですね。通い始めてからちょうど四十九日目でした。

壇蜜    お経を上げてもらえる(笑)。

ジョニ男    芸人として尊敬するのはもちろんですけど、人間としての興味が尽きなかったからそこまでできたんでしょうね。タモリさんは、お笑いの達人でもあり、人生の達人でもある。弟子になってからもいろんな話を聞かせてもらいましたけど、仙人みたいに不思議な人でした。

壇蜜    私はテレビで見ながら、ずっとこの世のものではないと思ってましたよ(笑)。