「みんな滅びてしまえばいいのに」と書かれていた壇蜜日記
ジョニ男 壇蜜さんはこれまでに日記を5冊上梓なさっていますよね。最新刊の『壇蜜ダイアリー』も素な感じがすごく伝わってきたし、自分のダメさ加減に容赦なく突っ込みを入れてらして痛快でした。日記はずっと書き続けているんですか。
壇蜜 はい。日記を書くことで自分を客観的に見られますし、嫌なことがあっても、書いてしまえばとりあえず区切りがつけられるでしょう。だから、私にとっては大切な作業なんです。
ジョニ男 僕も若い頃からネタ帳の余白に日記をつけてるんですけど、あらためて読み返してみたら、妬みと愚痴のオンパレードで……(笑)。
壇蜜 若い頃の日記はどうしてもネガティブになりがちですよね。私も「みんな滅びてしまえばいいのに」なんて平気で書いてましたよ。世界の全てを敵にまわして(笑)。
ジョニ男 僕も、「俺vs社会」みたいな大風呂敷を広げて怒りをぶちまけてたなぁ。
壇蜜 日記には堪えてきた不満を解消する効用もありますよね。
ジョニ男 とはいえ、僕の日記には「あいつはオレの家にきてポテトチップスを食べた手を、炬燵の布団で拭いて帰った。」なんて書いてあるんですよ。あまりの小物ぶりにうんざりさせられる(笑)。
壇蜜 いや、私はそのうんざりすることこそが大切だと思うんです。読み返してそう思えるなら、いまは違うってことじゃないですか。
ジョニ男 なるほど、そこから成長していまの自分があるんだって認めてあげればいいんですね。
壇蜜 そうすれば、どんなに恥ずかしい過去の自分も救われる(笑)。
ジョニ男 ただ、なかなかそれを認められなかったりもするんですよね。自分なりのプライドが邪魔をして。他人から見たら些細なことなんですけど。
壇蜜 自意識ってほんとうに厄介ですよね。私もさんざんうんざりさせられてきたのでわかります。
ジョニ男 若い頃は、自分の理想と周りが僕に期待する笑いの質にギャップがありすぎて辛かったんです。僕はかっこよく笑いをとりたかったのに、周りからは情けない姿ばかりを面白がられて……。
壇蜜 でも、自分のことをいちばんわかっていないのが、実は自分だったりもしますよね。
ジョニ男 そうなんです。妻までもが、ネタでは1度も笑わないくせに、テレビで僕の情けない素の表情が映されると大爆笑するんです。
壇蜜 そこに面白さを見出されるなんて、すでに奥様はジョニ男さんの芸人としての本質を見抜かれていたわけですね。
ジョニ男 悔しいけれど、僕が気づくずっと前からわかっていたみたいで。
壇蜜 私と一緒で、奥様もきっと弱っている人間が大好きなんですよ(笑)。
ジョニ男 えっ……。だから女性は恐ろしい。