最終回で感謝した「矢部のスゴさ」とは
<たとえば、最終回。
最初の方で言いましたけど、番組を「祝活」という形で終わるにあたって、この半年間それぞれが何を感じたのか? それをテレビにしてしまおうと思っていたので(→#2)。祝辞ではこういうことを言えばいいとかを打ち合わせするのではなくて、彼らの話を聞いていく中で、頭の中を整理してもらって、あくまで話す中身は自分で考えてもらうためのインタビューでした。ジャルジャルやたんぽぽみたいな若い人には「それをみんなの前で言ってみたら」とアドバイスぐらいはしましたけど。最後にどんな風に持っていくかというのはあくまでも個人との探り合いで、本番までわからないところがテレビっぽくて、すごく楽しかった。
岡村なんて、前日に「飛鳥さん、スピーチの最後なんですけど、あんまり真面目になるのもアレなんで、ボケて終わろうと思います」ってカッコよく言ってたんですよ。「いいねえ。22年の終わりがボケで終わるっていうのも、カッコいいよね」と送り出したら、本番は「ボクの青春でした」って号泣(笑)。そんな筋書きいくら考えても書けないですよ。
山本と再会した時の加藤の「当たり前じゃねーからな!」(→#1)なんかもそうですけど、収録でなにが起きるかは蓋を開けるまでわからないのが『めちゃイケ』らしさなんだと思います。結果として最終回では岡村に限らず、他のメンバーの感情もじっくりと引き出せたように思います。極寒の中、さんまさんを4時間も待たせましたけど(笑)。
ただあの日に改めて思ったことが、矢部のスゴさって、あらゆる場面で泣かないこと。それはきっとみんなが助けられてきましたね。22年間を通じて矢部が泣いたら終わりって状況は何回もあったんですけど、泣かなかった。山本が帰ってきたときも、普段は絶対に泣かない大久保だって雛形だって泣いていた。けれど、矢部はどんなときでも、最終回でも、泣かない。見たことがない。それは彼のプロ意識というか「女優は顔に汗をかかない」とかに近いものがある。司会者は泣いちゃダメという……それはたとえばさんまさんも同じだと思いますけど、決してあの人が血も涙も無いんじゃなくて、「泣いたら仕事にならない」というのが、お笑いの司会者にとっての初期設定なんじゃないですかね。仕切っているのに泣いていられないですから。そこは徳光さんとか羽鳥さんとかアナウンサーとも役割が違いますもんね……いや!…紳助さんだけ例外でした(笑)!
だから矢部って打ち合わせの時もそうでしたけど『めちゃイケ』では22年いつも陰に入ってくれていた。いつも岡村やメンバーに日が当たるように振舞っていた。本当にありがたいことです……でも、今はもう誰にも気を遣わないでどんどん自分が目立っちゃえば、と思ってます。