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フェイスブック社と日本が似ている現状

 実はこの日本の姿勢はフェイスブック社ときわめて似通っている。フェイスブック社は私企業であり、政治や紛争には関与したくない。しかし、ロヒンギャ問題では批判の矢面に立たされている。なぜならロヒンギャへの誤解やヘイトはフェイスブックやWhatsApp(フェイスブックの子会社、世界最大のメッセージングアプリ)を通して広がっているからである。時には特定の相手への攻撃指示まで行われている。

 フェイスブック社はネットが普及していない地域に無償のインターネット接続サービスを提供している。そこで利用できるのは同社および同社グループのサービスだ。ミャンマーでもこのサービスによって急激にモバイルインターネットが普及し、インターネット=フェイスブックという状況が生まれた。そこで蔓延したのがヘイトである。

Facebookのタブリン本社 ©iStock.com

 2018年8月15日のロイターは「フェイスブックがミャンマーのヘイトスピーチ戦争で敗北している理由」という記事のトップに大きく「ヘイトブック(Hatebook)」と掲げた。この記事ではフェイスブックのサービスがロヒンギャ虐待に利用された実態と、同社が手をこまねいていたせいでいかに事態を悪化させたかが描かれている。このへんの経緯については拙著『フェイクニュース 新しい戦略的戦争兵器』(註3)にくわしく書いた。

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批判に対しての対応が下手

 日本もフェイスブックも金を儲けるために同国に様々な便宜を図り、問題への有効な対策を打たぬまま、便宜供与を止めていない。日本に至っては軍事面での便宜供与までしている。さらに似ているのは、どちらも批判を受けた後の対応が下手なことだ。

 日本政府は問題の発生している国の政府を支援する言い訳に、問題はその国自身で解決することが一番といった言い方をよくする。国内で問題が発生している国の政府を支援する一方、問題の解決そのものはその国の政府にまかせる、という考え方は一見悪くないように思えるが、実際はケースバイケースである。たとえば史上有数の大量虐殺(80万人とも100万人とも言われる)の起きたルワンダで、虐殺を続ける政府を支援することは考えられない。ミャンマー政府に対して日本が行っているのはそういうことなのだ。少なくとも国際社会からはそう見えている。

ルワンダ大虐殺の犠牲者に国立記念碑  ©iStock.com