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ロヒンギャ問題で日本とフェイスブック社が批判を受け続ける理由

ネット世論操作が日本にもエセ民主主義を作り出す

2019/04/21
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 ノーベル平和賞受賞者であり、日本でもよく知られたアウンサンスーチー氏に国際的な批判が高まっている。パリではパリ市名誉市民称号を剥奪され、オックスフォード市も同様に名誉市民号を剥奪し、カナダも名誉市民の称号を剥奪した。アムネスティ・インターナショナルは同氏の「良心の大使賞」を取り消した。

 一方、こうした国際的な批判とは真逆に日本の河野外相はアウンサンスーチー氏と会談し、支援を約束した。国連でロヒンギャ迫害非難決議を採択した時には142カ国が賛成する中、日本は棄権した。また、自衛隊はミャンマー国軍と交流を続けている。

アウンサンスーチー氏(右)と会談した河野外相 ©AFLO

深刻化するロヒンギャへの「民族浄化」

 背景を説明しよう。ミャンマーではロヒンギャという少数民族への虐待、虐殺の問題が深刻化しており、約70万人が国外脱出する事態になっている。前述の国連決議はこれに対するものであり、虐待の主体であるミャンマー国軍の行動を「民族浄化」と糾弾している。

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 ロヒンギャへの「民族浄化」は軍によって行われている。ミャンマーでは政府が軍を制御できない仕組みになっているので、国家顧問であるアウンサンスーチー氏には軍の暴走を止めることができない。それでも軍を批判し、止める努力を行うことは可能なはずだが、あまり積極的に行っていないことが批判の的となっている。

迫害を受けるミャンマーの少数民族・ロヒンギャ ©iStock.com

日本得意の責任逃れの自己責任論

 同様にミャンマー政府およびミャンマー国軍を支援する日本も批判されている。2018年9月18日のディプロマット誌には「日本の恥ずかしいミャンマー抱き込み(Japan's Shameful Myanmar Embrace)」(註1)とまで書かれてしまった。ミャンマー防衛省のページ(註2)に掲載されている内容の通りだとすれば、自衛隊が会談した相手は、ミャンマー国軍の最高司令官であるミンアウンフライン氏で、虐待、虐殺を進めている張本人だ。そんな相手と協力関係を強めるのは批判されて当然だ。

 日本は同地区の経済権益を確保するために、中国(ミャンマー政府を強く支持)とのバランスに配慮しながらミャンマーとの関係を維持しており、人権や人命には配慮していないと思われても仕方がない。金は出すから厄介ごとはその国で解決してほしいという、日本得意の責任逃れの自己責任論にしか見えない。