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ミャンマーでの虐殺を容認する行為

 2019年2月5日、フェイスブックは「ミャンマーのフェイスブックから危険な組織を締め出す」(註4)と題する記事を同社のNewsroomに掲載した。内容はミャンマー国内の危険な4つのグループをフェイスブックから排除した旨の発表だ。これらの集団は武装しており、テロ、殺人、ヘイトなどの行為に関わっており、一般市民を攻撃した証拠もあるという。

 この措置に多くの人権団体やメディアが疑問を呈し、批判した。たとえば2月7日付のガーディアン紙では以下のように指摘されている。「ミャンマーには武装しているグループが多数あり、なぜこの4つだけ対象になったかが不明である。さらにヘイトの最大の発信源であるグループには手をつけていない。つまり非常に偏りがあり、実効性に疑問がある」(註5)

 フェイスブック社はその理由を明確にしていないが、政府や軍およびその主張に近いグループは対象としないというルールがあると推察されている。ヘイトや虐待はミャンマー国軍が中心のひとつなので、そこに手を付けないことはミャンマーでの虐殺を容認し、逆に軍に抵抗する勢力のみを排除することになる。火に油を注ぐとはこのことだ。

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「見えない戦争兵器」となりうるネット世論操作

 問題はミャンマーだけではない。世界各地で極論に傾いた集団が騒ぎを起こしている。ミャンマーへの対応と同じことをしていれば国際社会から問題視されるのは間違いない。フェイスブックはすでに世界各国で批判され、対処を求められている。

 この背景にはSNSの社会的影響力が急速に広がっていることと、それを利用したネット世論操作が行われていることがあげられる。アメリカ大統領選にロシアが干渉したことはよく知られているが、現在世界中の選挙のほとんどでネット世論操作が行われている。

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 選挙にネット世論操作を利用する動きは2010年前後から急速に世界中に広まっていった。『真実と信頼の課題 組織化された世界のネット世論操作便覧』(註6)によれば2018年現在、世界48カ国でネット世論操作が行われているという。2017年には28カ国だったから急増といっていいだろう。そのすべての国で国内を対象に情報操作が行われており、さらにいくつかの国は海外に向けても行っている。たとえばロシアやイランなどがそうだ。敵国を攻撃する「見えない戦争兵器」として積極的に活用している。