「令和」を発表してからというもの失言ラッシュである。塚田一郎(国土交通副大臣)や桜田義孝(五輪担当相)が辞任。

 2007年の第一次安倍政権時に「辞任ドミノ」が起きたので最近新聞にはまた同じ言葉が目立つようになった。

4月10日夜、辞表を提出後、取材に応じる桜田義孝五輪担当相(中央) ©時事通信社

 興味深い分析をしたのは4月12日の「東京新聞」だ。

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 第一次政権を振り返ると“カネ絡み”で辞任するケースが多かったが、ここ数年は同じ辞任ドミノでも色合いが違うことを指摘する。

 それは、「本人の資質や軽薄な言葉が問われた格好」。

 ああ、たしかに走馬灯のように迂闊なおじさんたちが目に浮かぶ。

 となるとこうも言えまいか。

 現在の閣僚はカネの問題まで「たどり着くまでもなく」基本的な資質のためにアウトになってしまうと。驚異の現実である。ついでに言うと片山さつき先生はカネも資質も問われる稀有な存在であることもわかる。

安倍首相が辞任の引導を渡す時のテーマは「復興」「五輪」

 さて興味深いのは、政権側がすぐに更迭したケースを振り返ると災害復興が関連する失言だ。

・今村雅弘復興相「まだ東北で良かった」
・務台俊介内閣府・復興政務官が台風の被災地で「長靴業界はだいぶもうかった」
・そして今回の桜田五輪相の「復興以上に大事なのは高橋さん」

 さんざん失言をしてきた桜田氏が今回は一発アウト。これは何を意味するのか。

 東京新聞は安倍首相が辞任の引導を渡す時の地雷テーマは「復興」「五輪」と指摘している(4月12日)。しかしそうなると被災地復興を掲げる東京五輪の担当大臣に桜田氏を任命したことはどう考えても矛盾しすぎるではないか。

安倍晋三首相 ©文藝春秋

 そう思って読んでいると同記事に次のコメントがあった。

「(桜田氏の)辞任によって『復興に真剣』というポーズを示すことができた。安倍政権にとって、まさに災い転じて福となす、だ」(沖縄国際大・佐藤学教授)

 ……そういえばこの言葉を思い出した。「やってる感」である。またしてもこの言葉がちらつく。