「安全」のための人材確保と労働環境の整備が不可欠
――2006年に92万人いたトラックドライバーの数が、2017年には80万人を下回るまで減少しており、残っているドライバーの高齢化も顕著です。こうした問題も鉄道貨物需要の増加の大きな要因となっているわけですが。
真貝 少子高齢化が進めば、トラックドライバーだけでなく鉄道貨物の労働力にも影響してきます。それに加えて、都市部への人口集中や、「働く」ということへの価値観の変化も、質の高い労働力確保に大きく関係してきます。こうした問題には、我々もしっかり対応していく必要があると感じています。
JR7社の中で、我々JR貨物だけが全国組織ですが、日本各地で優秀な人材を確保しなければならない。鉄道事業者として何より重視しなければならないのは「安全」であり、これを得るための優秀な人材の確保と労働環境や条件の整備は不可欠です。これまでも対策を講じてきましたが、今後も充実させていくつもりです。
社員が安心して生き生き伸び伸びと働くことができ、仕事のやりがいと自分の成長が感じられること、職種、地域についても、本人の意思・努力で選択する機会を得ることを目的に、4月から新しい人事制度がスタートしました。
あらゆる物流の集積地点「東京レールゲートWEST」
――東京貨物ターミナル(東京都品川区)に建設中の「東京レールゲートWEST」が来年3月に完成予定とのことですが。
真貝 これは貨物版「エキナカ」と言えます。貨物駅構内にお客様のための物流拠点を作り、貨物鉄道輸送との結節を活かして、商売をしてもらおうというもの。特に東京貨物ターミナルは、羽田空港や大井埠頭にも近いことから、あらゆる物流の集積地点として機能できます。貨物駅の間口を広げて、顧客にとって使いやすい貨物駅にしていこうという取り組みです。
同じ機能の施設を全国に作っていく計画があり、すでに札幌では具体的なプランが練られています。一方、貨物列車の「途中駅」となる貨物駅では、迅速かつ簡便なコンテナの積み下ろしが求められます。これについては「Effective & Speedy(E&S)方式」の駅を増やしていきます。
従来は列車を一度架線のない荷役線に入れてからフォークリフトでコンテナの積み込み、積み下ろしをしていました。そのため、本線を牽いてきた電気機関車から構内作業をするディーゼル機関車に付け替えるなどの作業が必要なのですが、E&S方式は着発線の架線の送電を止め、電気機関車と連結したままで直接積み込み、積み下ろしができるので、時間とコストを大幅に削れます。現在全国29の駅に設置していますが、今後さらに増やしていく予定です。
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