「皇居の中で火災が発生したら我々が初期消火にあたるんです」
――吹上護衛署、というのは警察署のようなイメージですね。門の出入の確認はつまり門番?
青木さん そうですね。皇居の入り口の門であったり、皇居の中にもいくつか門があるのですが、そうしたところに立って出入の確認をしています。皇居に入る人はみな門を通ることになるので、不審者の侵入を防ぐことは当たり前ですが、陛下のお客さまもいらっしゃるわけです。ですから、もちろん横柄な対応をしてはいけないですし、自分たちのイメージが皇室のイメージにも直結する。国民の皆様は自分たちの後ろに皇室を見ているわけですから。そういう意味でも気が抜けない仕事なんです。
――なるほど。皇居の門に立っているのは警視庁ではなくて皇宮警察の方々だったんですね。確かに取材で訪れた際の受付も手際がいいし、愛想も良かった……。
青木さん もちろん不審者などへの対応もきちんとしないとダメ。なにか事案が生じてしまったらいけない仕事ですから、緊張感はいつもありますね。それに出入があるような日中だけでなく、夜中も立ち続けますし、雨が降っても雪が降っても。だから体力という面では最初はなかなか大変でした。
――当然“皇室守護”は24時間体制なわけですもんね。他にも青木さんがされている仕事はありますか?
青木さん あとは警防と儀仗ですね。これは皇宮警察ならではだと思います。他の警察にはないんじゃないでしょうか。
――警防と儀仗? 聞き慣れませんが、どういう……。
青木さん 警防というのは、一般的にいうと消防ですね。皇居の中には消防署はないので、内部で火災が起こった際には我々が初期消火にあたるんです。警防車といって、ポンプから水を送り出して放水できる、消防車のようなものがありまして、その訓練を日常的にしています。普段は警備の仕事をしていて、合間の時間で警防の訓練、という感じでしょうか。