日本で唯一、“皇室守護”という特殊な仕事をこなしている皇宮警察。特別感たっぷりの制服に身を包んで微動だにせずに門の前に立ち続ける「儀仗」、皇居内の火災に備える「警防」……。その仕事内容も特殊なものばかり。では、その“特殊な仕事”をこなすためには何が必要なのか。前回に続き、青木拓哉巡査長皇宮巡査のインタビューをお送りします。(全4回/#1#3#4 公開中)

皇室を24時間365日護衛する「皇宮警察」、どうすればなれる?

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「就活するまで皇宮警察のことをほとんど知らなかった」

――ひとくちに警察と言っても、都道府県警察とは違うことだらけの皇宮警察ですが、そうした仕事内容は就職前からわかっていたのでしょうか。

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青木さん もちろんある程度は調べていましたが、やっぱりこればかりは入ってからじゃないとわからない部分もありますよね。そもそも私は就職活動をはじめるまで皇宮警察という組織のことをほとんど知らなかったくらいですから(笑)。公安職を志望していたのでいろいろ調べる中で見つけて、そうしたら儀仗はもちろん陛下の一番お近くでお守りする側衛、騎馬や白バイでの車列の護衛など他にはない仕事がたくさんあることを知りました。そこでパンフレットにもあったんですけど、『皇室守護のプロフェッショナル』。その言葉が自分の中に入ってきまして、皇室という特別なところに関わる仕事をしたいと思ったんです。

――やはり普通の警察とは違う教育を受けるわけですよね。

青木さん 皇宮警察学校に入校して訓練を受けるのですが、基本的なカリキュラムは都道府県警察の警察学校と同じなんです。ただ、それに加えて情操教養があるのが皇宮警察ならではだと思います。華道や茶道、詩吟、短歌とか……。あともちろん皇室の行事や歴史について学ぶ授業もありました。皇太子さまがスキーがお好きだということで、実際にスキーの訓練もあったりして、このあたりも他とは違うかもしれません。

皇宮警察の青木拓哉巡査長皇宮巡査