平成29年の衆院選で「国民の審判を仰いだ」
安倍晋三 首相
「平成29年の衆院選で自民党は自衛隊明記を真正面から公約に掲げ、国民の審判を仰ぎました」
産経新聞 5月3日
同じ産経新聞のインタビューより。安倍首相は「自衛隊明記」について「真正面から公約に掲げ、国民の審判」を仰いだと語っているが、そうとは思えない。2017年の衆院選は「国難突破解散」を謳い、自民党が掲げていたのは「北朝鮮の脅威」「外交」「アベノミクス加速」などで、憲法改正については公約の最後、パンフレットの18ページ目に付け足されていたに過ぎない。
安倍首相は衆院選で75回の演説を行っているが、憲法改正について触れたのは1回だけだった(朝日新聞 2017年10月27日)。
下村博文 自民党・憲法改正推進本部長
「新しい元号の下で新しい日本をつくっていく。その象徴が憲法改正ではないか」
産経新聞 5月3日
新元号と憲法改正のつながりをストレートに言葉にしたのが、自民党で憲法改正推進本部長を務める安倍晋三首相の側近、下村博文氏だ。
「第21回公開憲法フォーラム」に出席した下村氏は、「新しい元号の下で新しい日本をつくっていく」と断言。「新しい日本」は「憲法改正」によってつくられるものだと明言した。
下村博文 自民党・憲法改正推進本部長
「自衛隊を明記することで違憲論争に終止符を打つ」
産経新聞 5月3日
下村氏は3日に放送されたNHKの特番『令和の時代 憲法を考える』に出演。安倍首相と同じく「自衛隊明記」について強調し、「自衛隊は誰が見ても合憲だと決着をつけることが歴史的に大変重要だ」と述べた。
このとき、下村氏は「9条は変えない。解釈も変えない」「自衛隊明記は加憲だ」とも発言し、戦争放棄や戦力不保持を定めた9条1、2項の解釈は変わらないと主張した(日刊ゲンダイDIGITAL 5月4日)。
安倍首相や下村氏が繰り返す「加憲」について、日本を代表する憲法学者の樋口陽一氏は異論を唱えている(朝日新聞 5月3日)。今ある自衛隊の存在を書き加えるだけなら大きな変更ではないと思う人もいるかもしれないが、樋口氏は「基本的な法原則の一つに『後(のち)の法は先の法を破る』があります」と語る。ある法にそれまでと違うことを書き加えたら、前からあるルールは失効するという原則だ。樋口氏は次のように続ける。