『デモサヨナラ』でアイドル戦国時代を席捲した、仙台のローカルアイドル・ドロシーリトルハッピー。
しかし、2015年7月12日に行われた中野サンプラザホール公演で秋元瑠海、富永美杜、早坂香美の3人が卒業。2017年7月23日には白戸佳奈が卒業し、メンバーは高橋麻里だけになった。
ひとりになってもドロシーを守ってきた高橋だが、2018年12月16日にグループを卒業。それでも彼女は「アイドルとして歌いたい……」という想いを抱き続ける。(全2回の2回目/#1へ)
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本格的ブレイクに至らなかった要因とは?
――アイドルファンの間で『デモサヨナラ』がアンセムとして知られていますが、一方で「代表曲」の呪縛は感じませんでしたか?
高橋 アーティストにとって代表曲があることはありがたいけど、ファンの方は「また『デモサヨナラ』?」と思うこともあっただろうし、ドロシーの名前は知ってるくらいの方は「『デモサヨナラ』をやってほしい」と思うはず。その葛藤はありました。私たちも「『デモサヨナラ』を歌ってください」というオファーがあった時に「新曲を出したばかりなのに……」と思うことはありました。「『デモサヨナラ』を超える曲を作らなきゃ」という焦りから、「いま流行ってる曲調に寄せたほうがいいんじゃないか」と思ったこともあるけど、スタッフの方たちは「ドロシーらしさ」を大切にしてくれました。
――2ndアルバム『STARTING OVER』でその葛藤も払拭された。
高橋 そうですね。全曲シングルカットできるようなアルバムを作ろうというテーマがあったんです。とくにリード曲『STARTING OVER』は仮歌を聴いた時に、5人が歌って踊っている絵が頭に浮かんで、そのままを表現したら多くの方に評価していただきました。まわりが求めているドロシーリトルハッピーと自分たちができることが一致したんです。
――メインボーカリストとしての自負はありましたか?
高橋 『STARTING OVER』からはメンバーそれぞれがメインの曲ができはじめて、それがドロシーの新しい魅力につながると感じたと同時に、メインボーカルの私はもっと頑張らなきゃいけないと思ったんです。「あの子がかわいい」とか「曲がいい」とか、ドロシーが好きになるきっかけは様々だけど、そのひとつに「まりちゃんの歌声がいいね」があるといいなって。
――高橋さんが歌っている姿に自信がみなぎっているように見えました。
高橋 センターに立って歌わせてもらっているのに、自信がなかったら他のメンバーに申し訳ないじゃないですか。だったらマイクをおけよという話で(笑)。自信を持ってステージに立つことが自分を輝かせることにつながると思ってました。
――『STARTING OVER』で手ごたえを感じたものの、本格的なブレイクには至りませんでした。何が足りなかったと思いますか?
高橋 お金のかけ方じゃないですかね(笑)。振り返って思えば「こうすればよかったのかな」ということはあります。でも、あの時のまっすぐさじゃないと超えられなかったこともあったと思うんです。