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移民社会の子ども問題

 日本は少子高齢化が進んでいくため、移民の受け入れは嫌でもおこなわなくてはならない。事実、現時点ですら都心部のコンビニやチェーン系飲食店、建設現場などの労働者の多くは外国人に置き換わってしまっている。外国人労働者の数は今後も不可逆的に増えていくし、彼らがなんらかの方法で家族を呼び寄せて定住するような例もどんどん増える。

 だが、移民や外国人労働者の受け入れは、イコール当該国の文化や習慣の受け入れでもある。しかも、やってくる外国人は、基本的には日本よりも貧しかったり人権意識が低かったりする国の人たちだ

 彼らの「文化や習慣」のなかには、先進国基準の人権意識からは受け入れがたいものもある。特に子どもをめぐる問題は、可視化されにくいが非常に深刻だ(そもそも隣のベトナム夫婦の子どもは、ちゃんと母子健康手帳の交付を受けたり予防接種を受けたりできているだろうか?)。

 今年5月4日付けの『毎日新聞』WEB版によれば、日本全国で約1万人の外国籍児童・生徒が、日本語のサポートを必要とする状態にあるのにそれを受けられていないという。近年の日本の社会は、ただでさえも育児や教育に比較的冷淡な傾向が強い。それが外国籍児童の問題ともなれば、なおさら問題の解決がなおざりにされがちなことは想像に難くない。

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 この原稿の執筆中も、隣室から物音が聞こえてきた。移民社会の最前線は、なんとも悩ましい。

※プライベートの世界から現代中国の社会を読み解く。安田峰俊性と欲望の中国』(文春新書)が5月20日に刊行予定です。