1冊でGoogleマップ的役割を果たした
久しぶりにA4変型、280ページ超のずしりと重みのあるムックを捲ってみると、その情報量と見やすさに改めて驚かされる。エリアマップのみならず、主要駅の構内マップ「トラフィックマップ」は改札や出入口はもちろんトイレやコインロッカーの位置、バス乗り場、売店や周囲の喫茶店の情報がこれもアイコンを巧みに使って示され、始発・終電時刻や路線同士のスムーズな乗り換え方法が写真付きでまとめられている。さらには120校の大学構内マップや鉄道の各駅所要時間早見表まで。そう、1冊でまるごとGoogleマップ的役割を果たしてくれたのが『ぴあmap』の画期的な点なのだ。
都市情報源としての『ぴあmap』は確認した限りでは2008年春に出た『首都圏版ぴあmap』と『ぴあmap文庫2008-2009首都圏版』が最後で、その後はぴあMOOKとしていくつかのバージョン違いが発行されている。2008年といえば7月にiPhone 3Gが発売され、手のひらサイズのスマホでGoogleマップを持ち歩けるようになった年。そのタイミングで『ぴあmap』がひとつの区切りをつけたのは皮肉な話だが、先にも触れた通り、現在私たちがスマホやタブレットで日常的に使っているマップ機能の源流にはこの『ぴあmap』があると言っても過言ではないだろう。そしてこうした本は役目を終えると多くが廃棄されるため残りにくく、特に80年代~90年代初頭の『ぴあmap』の古書価は意外に高くてヤフオクでも結構高値がついているのが特徴。平成元年の貴重な街の記録として、末永く大事にしたいと考えている。
(※1)参照:http://www.j-cast.co.jp/morishita/
(※2)参照:https://internet.watch.impress.co.jp/docs/column/chizu2/755525.html