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団塊の世代をどうするんだ問題

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 そして、日本最大の人口ボリュームゾーン、団塊の世代がついにリタイアしました。長らくお疲れ様でした。しかし、老人は富を生み出しません。富を生まないのに医療だ介護だ年金だとカネを使っていては、現役世代は大変です。カネを食う老人が増えて珍しくもない状態になってしまうわけですよ。日本の古き良き社会秩序、老人を敬う心は、大量の年寄りを支える予算をどう賄うかという大問題に直面して風前の灯になってしまうのでありましょうか。

 実は、これらの世代を支える必要があるという高齢者問題は、支えられる高齢者の側ではなく、支えなければならない勤労世代の側にのしかかるものです。

 勤労世代である30代、40代こそ、高齢者を社会で支える架け橋であり、人柱であり、次の時代に社会を引き渡す重責を担っているわけです。つまり、頑張って働いて経済を回して税金を払い、老いた父親や母親を援け、自分は働き方改革が叫ばれる中でスキルを磨き、健康に気を配り、夫婦やパートナーと話し合って子供を儲け、教育し、次の時代へ日本を繋いでいく使命を負っています。ここが疲れ果てると日本は本当に終わってしまいます。

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 2016年度の社会保障給付費は、予算ベースで年金56兆、医療37兆、福祉その他が23兆あまりで総額118兆円。これが我々納税者の税金の一部や天引きされる保険料などから賄われるわけですけど、これらのお金はだいたい高齢者の生活や医療、介護などに使われてしまいます。当たり前ですね、歳を取ってしまって自分では何もできないんですから。

 でも、これらの予算はだいたいが勤労世代が生み出した、法人税や所得税であり、また、将来の日本人が稼ぐであろうお金(富)を前借して作った借金です。そういったものの上に、高齢者の皆様の6.59点という「まあまあ満足」という生活が成り立っている、という雰囲気でしょうか。

 私も44歳、三児の父、高額納税者、親父お袋が絶賛要介護中という状態でありますので、正直「やってられねえよ」というより「これ、ほんとどうすんだ」と暗中に立ち尽くすような状態です。このままでほんと、日本は持つんですかね。

 「日本社会の衰退を抱きしめる」とき、戦後、昭和が生んだ高度成長から決別し、右肩上がりではない、別の社会思想の必要を強く感じます。減りゆく労働人口でも、制度や技術を駆使しながら、少しでも生産性を上げ経済成長して、右肩下がりでもやっていける社会を構築することです。

 もうバブル経済なんてそうそう来ないし、移民も受け入れる方向にいかないようなら、少ない子供たちのために私たち現役世代である30代40代がいろんなものを受け止めなければならないのでしょう。