あんだけ祝ってやったのに、簡単に離婚してんじゃねーよ。

 そんなふうに考えていた時期が、私にもありました。

世の夫婦は意外に普通に離婚してしまいます

 なにぶん結婚したあとの35歳まで私は童貞でしたので、30代ぐらいまでは「なんでセックスまでして、夫婦は簡単に離婚してしまうのか」と思っていたんです。セックスは神聖なものじゃないかと。なぜ身体をお互いに許していて、結婚までして、あっさり別れるのかと。夫婦ごとに事情はあるかもしれないが、理解し合う努力は必要なんじゃないかと。私なんかを選んで結婚してくれた私の家内が尊いと思うので、私に関する理由で離婚するのは私が認知症になってからにしてほしいと願うぐらいに夫婦仲は円満ですが、世の夫婦は意外に普通に離婚してしまいます。何してんすか。

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 このゴールデンウィークの10連休で、なんと3組も身近な友人や取引先の夫婦が破綻してしまいました。もちろん、休み中にすべての理由があるわけではなく、もっと長い時間をかけて夫婦仲が冷温停止状態になり、お互い疎遠になり、かすがいのはずの子どもたちを振り切って別れを選択したいい歳した立派な男女です。だから、その判断は人として尊重されるわけですけれども、悩み相談をしてきた夫婦それぞれの言い分をじっくり聞くと「お前ら何してんだよ」と思わずにはいられません。

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「お前ら本当の馬鹿なんじゃないの」

 ある上場企業の経営陣夫婦が家庭内不和を起こしても離婚に踏み切れなかった理由は、子どもの親権よりもご主人の持つ株式が奥さんに取られてしまうという問題であって、ご主人の会社の創業仲間や幹部は「頼むから離婚だけはしないでくれ」とか「会社の株が奥さんのところにいったらわが社はどうなるのか」などという創業者の下半身リスクがそのまま体現したような素敵事例を引き起こしていました。アマゾンかお前らは。初めてそのトラブルを聞いたとき、「お前ら本当の馬鹿なんじゃないの」と私は素朴に思いましたね。財産は頑張ればどうにでも築けるけど、家庭や子どもだけは取り返しがつかないじゃないか。

 たいして株を持っているわけでもない私は「クソみたいな問題を起こしやがって。まあ、その時が来たら売ればいいか」とのんびりしていたら、その経営者からも奥さんからも「おまえ、家庭円満そうじゃないか。ちょっとうちの馬鹿嫁の話を聞けよ」&「あなた、馬鹿亭主の長年の友人でしょ。相談に乗る義務があるんじゃないですか」とかいう怒りの矛先がなぜこちらに向いているのかさっぱり分からないご相談を頂戴するのです。お前らの家庭事情なんて私がいちいち知るわけないだろ。

 私に言わせれば、夫婦そろって馬鹿だから地位も家庭もぶっ壊して相手が悪いと口とんがらかしてるだけに感じます。