銀行の窓口で金融商品を買わない方がよいのは世界共通ルールかもしれません。銀行というと証券会社や保険会社よりも安心なイメージがありますが、必ずしもそうとは限らないのです。
金融庁が昨年6月に公表した調査では、都銀や地銀の計29行を対象に2018年3月末時点の運用損益を調べたところ、損失を抱える顧客は46%と全体の半分近くに達したことが明らかになりました。損失率が10%以下の個人が全体の35%ともっとも多かったようです。個別行では「平均の運用損益率がマイナスの金融機関もあった」(金融庁)といいます。
日本経済新聞によると、生命保険会社が銀行の窓口などで販売している「外貨建て保険」の苦情が急増しており、2017年度の苦情件数は1888件と、5年前の12年度に比べて3倍超に膨らんでいます。
なぜ「銀行で金融商品を買わないほうがいい」のでしょうか。それには大きくわけて3つの理由があります。1つずつ説明していきましょう。
〈理由1〉適度な距離を置いて付き合うことが難しい
メインバンクの場合、給与や退職金の振込、公共料金やクレジットカードの引き落としなど何から何まで手の内を知られています。「今はお金がないから」という言い訳もできずに、証券会社のような適度な距離を置いて付き合うことが難しいのです。
定期預金が満期になったタイミングで銀行から投資信託や保険商品を勧められたことはありませんか。「一時期、毎日銀行からセールスの電話がかかってきました」という声を私が住むシンガポールでもよく聞きます。
「退職金を全額使って、銀行で投資信託を1本買ったのに、退職金が半分になりました」――これはリーマンショック後によく聞いた話です。
私自身もリーマンショック時に勤めていた外資系の金融機関を会社都合で退職することになり、僅かながら退職金が振り込まれたのですが、すかさず銀行から連絡がありました。
シンガポールも含め、多数の国がDo-Not-Call制度(電話勧誘拒否登録制度)を設けるなど、事前登録をすることによって勧誘を防ぐことができるようになっており、個人情報や投資家の保護が進んでいます。