〈理由2〉銀行が「売りやすい」商品が勧められることも
シンガポールや香港など海外でも銀行は積極的に顧客にコンタクトを取り、健康診断などが必要なく、売りやすい貯蓄型の商品が売られるのが主流のようです。支払い方法によって保険料や受取額などが大きく変わりますが、顧客に都合がよいようには提案しない担当者もいて驚くこともあります。
前出した、苦情件数が増えている「外貨建ての生命保険」は、商品自体の問題よりも窓口担当者の説明不足や顧客の理解不足などによる被害も大きいのではないかと思います。事実、外貨建ての生命保険は日本でも円よりも高い利回りが期待できます。例えば、契約時に米ドルベースでの返戻率があらかじめ決まっている養老保険などは将来設計をしやすいです。ただし、あくまでも米ドルベースでの元本保証なので円にするタイミングによっては投資額を割れることがあるので注意が必要です。この辺りが言った、言わなかったという問題になりやすいのかもしれません。
また、銀行の場合、担当者が異動などで変わる場合も多いので顧客が置いてきぼりにされるリスクもあります。
〈理由3〉投資信託や変額保険などリスクが非常に高い商品がある
元本プラス一定の保証のある貯蓄型の保険(現地通貨ベース)という比較的安全な商品を提案されれば、顧客の知識がなくともあまり心配ないのですが、日本で言うユニット・リンクの変額保険など非常にリスクが高くコストも高いものを提案する担当者もいます。
ユニット・リンクの変額保険は最低保証もなく、自分で投資信託を選んで運用リスクを取るというスタイルです。日本でよくある予定利率があらかじめ契約時に決まっていて最低保証があるという商品とは全く異なります。大雑把に言うと、投資信託に保険の機能も持たせた商品になりますが、コストや早期の解約コストが高いなどデメリットも非常に多い。顧客側も理解をしていないことが多く、日本の一部の銀行でも取り扱いがあるので注意すべき商品です。
また、毎年100万円以上などかなり大きな契約が35年間など長期に及んでいる契約もちらほら見かけます。契約総額を換算すると3500万円と住宅ローンのような金額になります。日本の場合は最長でも払込期間が65歳までになっている場合が多いですが、海外の物で100歳までという終身払いも見たことがありとんでもない金額になります。途中で払込をストップすることができる(払い済み保険にするのが前提)とセールスを受けたという話も聞いたことがありますが、顧客は理解していないことも多く、説明を忘れて払い続ける場合もあります。また、最初から一時払いなどで支払った場合と条件が異なるために要注意です。収入も貯金額も知られていると、毎月払えるめいっぱいの金額を長期間で提案をする担当者もいるようです。
加えて、日本では銀行の為替両替手数料が高いために外貨建ての保険など金融商品を購入する場合、往復の手数料もバカになりません。