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「これからはパンに合う梅干しも考えなければ」
同社は季節限定で白干し梅を果物の果汁で漬け込んで出している。春はイチゴやカシス、夏はマンゴー、秋はブドウ、冬はユズといった具合だ。「実は社長があまり梅干し好きではなく、そういった人でも食べられる商品を作りたいと開発しているのです。さすがにご飯には合いませんが、これからはパンに合う梅干しも考えなければ」と岡崎さんは力を込める。
JA紀州は、白干し梅を高糖度のミニトマト「優糖星」の果汁で漬け込んだ「tomato-ume(とまと梅)」を売り出し人気だ。塩ではなく、リンゴ酢で漬けた「塩零梅」も出している。
町内の菓子店「みさき堂」では、フリーズドライの梅干しを散りばめたフィナンシェ(焼き菓子)にリピーターが多い。梅酒に使った青梅を散りばめた梅ケーキも好評だ。
経営者の三前(みさき)雅信さん(73)は、町の観光協会長でもあり、梅のお菓子にこだわってきた。「梅干しは生クリームと合わせるのが難しく、青梅の季節になると町全体を包み込むような甘酸っぱい香りもなかなか再現できません」と苦笑する。
うめ課はレシピ本も発売
今年1月には、うめ課が「31日の梅レシピ!」という冊子を出した。南部高校など町内7グループが開発した創作料理集で、毎日食べられるよう1カ月31日分を収録している。監修はフードスタイリストの飯島奈美さん。田中課長は「我が家でも梅酢のから揚げや梅ヨーグルトが好評でした」と微笑む。
こうして苦境に対抗する努力が続けられている。