心療内科への受診も……ストレスと慢性前立腺炎の関係性
長時間座り続ける仕事や、長く自転車に乗るなどして前立腺に刺激が加わる機会の多い人はハイリスクとされるが、小路医師が指摘するのが「ストレスとの関連」だ。
「感染症ではない慢性前立腺炎の多くが精神的なストレスによって起きている――というのは、泌尿器科医の間では昔から言われていることです。ストレスがどのような機序で前立腺に炎症を起こすのかは分かっていません。自律神経の乱れなどが関係していることは考えられますが、はっきりしたことは解明されていないのです。ただ、患者に詳しく話を聞いていくと、強いストレスを持っていることが多いのも事実。ストレスが無くなると症状も軽快していく人もいます」
逆に言えば、ストレスが解消されないと症状も長期にわたって持続することがある。年単位で薬を飲み続けている患者も少なくない。
「ストレスを上手に回避できるか否かが、この病気の治療を大きく左右することは確かです」(小路医師)
ちなみに泌尿器科領域には、同様にストレスに起因する症状として「ED(勃起不全)」もあるが、これは慢性前立腺炎とはまったく別物。ただし、強いストレスを背負い込むことで、陰部痛とEDの両方の症状を併せ持つことは普通にあるという。
「ストレス性の慢性前立腺炎の人には、すでに“うつ症状”を持っている人もいます。そんな場合にはトフラニールという弱い抗うつ剤を処方することもあるし、場合によっては心療内科の受診を勧めることもある。それほど精神的な側面が強く関与する病気ということができるのです」(小路医師)
外来には「30~40人に1人」陰部への痛みを抱える患者が
この記事を読んだことで、「精神的なものなのか」と安心しないでいただきたい。同じような症状でも、調べてみると感染による前立腺炎であることもあるのだ。
小路医師によると、泌尿器科の外来には「30~40人に1人」のペースでストレス性の慢性前立腺炎による陰部痛患者が訪れるという。泌尿器科医にとっては非常にメジャーな病気なのだ。
陰部に痛みや違和感があり、しかも精神的な抑圧を感じている――。思い当たる男性は、恥ずかしがらずに泌尿器科医に相談することをお勧めします。