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世界の市場から日本家電が後退した「平成」 ガラパゴス化の理由

家電の世界シェア、パナソニックは何位?

2019/05/28

 1989(平成元)年は、松下電器産業(現・パナソニック)の創業者である松下幸之助が亡くなった年である。1917(大正6)年、22歳の幸之助は、大阪市の猪飼野にあった自宅で、電球のソケットの製造販売を始めた。この会社が1927(昭和2)年から使用し始めた商標「ナショナル」はその後、昭和を代表するブランドとなった。

 幸之助は日本中の家々に明かりをもたらし、主婦の家事を助ける家電製品を普及させた。有名な「水道哲学」の思想は、現在のネットの世界にも通じるものがある。

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「産業人の使命は貧乏の克服である。そのためには、物資の生産に次ぐ生産をもって富を増大させなければならない。水道の水は加工され価(あたい)あるものであるが、通行人がこれを飲んでもとがめられない。それは量が多く、価格があまりにも安いからである。産業人の使命も、水道の水のごとく物資を豊富にかつ廉価に生産提供することである。それによってこの世から貧乏を克服し、人々に幸福をもたらし、楽土を建設することができる」

 この言葉のとおり、戦後の経済成長とともに、日本中の家々に電化製品が満ちあふれた。さらに世界に進出し、世界中の家電売場を日本製品が席巻した。1990年代まで、家電は日本の主要な輸出品目であった。