2016年10月10日に、同性の夫と結婚式を挙げ、「夫夫(ふうふ)」となった七崎良輔さん。幼少期のイジメ、中学時代の初恋、高校時代の失恋と上京……七崎さんが夫に出会うまで、何を考え、何を感じて生きてきたのかを綴ったエッセイ『僕が夫に出会うまで』が5月28日(火)に発売されました。
刊行を記念して、七崎さんの夫である亮介さんにご登場いただき、結婚生活や七崎さんの著書について、また、日本のLGBTQを取り巻く状況について夫夫で話し合っていただきました。
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―― 本日はお二人ともありがとうございます。まず、亮介さんに、パートナーである七崎さんの新刊『僕が夫に出会うまで』の感想を聞きたいのですが……。
亮介 わたし、実はじっくり読んでおりません(笑)。なかなか時間がなくて……。
七崎 最近一緒に飼い始めた子犬を溺愛していて、読んでくれないんですよ。
亮介 でも、すでに七崎から聞いていた話が多いので。今日、来る前にパラパラ目を通してきたのですが、葛西警察署のエピソードが載っていたのを見つけました。
七崎 ゲイの人たちが集まるパーティで財布を盗まれたんですけど、警察で被害届を出そうとしたら「加害者も被害者もゲイだと、加害者に恋してしまって、捕まえても『やっぱり訴えません』ってなりかねない」なんてひどいことを言われて、被害届を出させてもらえなかったことがあるんですよ。あのとき、すごく亮介君が怒ってくれて。
亮介 付き合い始めた直後の出来事でしたよね。
七崎 実は、今まであったことを文章できちんとまとめてみたら、って提案してくれたのも亮介君なんです。私は4年前からブログを書いているんですが、その文章を読んで、「人に伝える力があるから書いてみなよ」って言ってくれて。
亮介 書きあげるのに3年以上かかりましたけどね。
七崎 3行書いて1週間休んで、5行書いて2週間休んで……みたいなことをやってたらこんなに時間がかかっちゃった(笑)。
亮介 全然書かないんです(笑)。何やってるかと思ったら、ずっと海外ドラマ見てる。
七崎 勉強です、それも!
セクシャリティに悩んだことのない「普通」の男の子だった
―― 「文春オンライン」では七崎さんのエッセイを一部掲載しましたが(編集部注・現在は#1-#9と母親へのカミングアウトの回のみ公開しています)、幼少期に経験したいじめや、セクシャリティに悩んだ思春期の描写に大きな反響がありました。亮介さんはどのように幼少期を過ごしたのですか?
亮介 七崎は言動にフェミニンなところがあるので、目につきやすくて、いじめの対象になっちゃったのかな、と思うんです。僕は平凡な男の子だったので、あまりそういった思いをしてこなくて。セクシャリティへの悩みもなかったんです。
七崎「ゲイかもしれない、どうしよう」とか悩んだことはなかった?
亮介 まったくなかったね。ただ単に男の子が好き、って感覚。