文春オンライン

米中対立の新しい冷戦でまた右往左往する日本という素晴らしい令和時代がやってきました

なんだろう、この「令和の時代」が迎えるハードモード。

2019/05/25
note

 トランプ大統領が中国通信機器大手のファーウェイ(HUAWEI、華為)に対する強烈な制裁を発表し、また、アメリカと中国の貿易交渉は事実上暗礁に乗り上げちゃったわけですよ。

 そりゃ貿易交渉が決裂したら、単純に世界経済が景気低迷してみんな嫌な思いをするのは当然のことですからね。それも、論評として「トランプ大統領は変な人ですね」では終わらないぐらい、実際には米中の対立というのは酷いことになっています。前任のオバマ大統領が対中国にせよ対どこにせよあまり強い態度でアメリカの立場を強調するということをしなかったものだから、中国も「おっ、アメリカはアジアの覇権には手を出さないのなら我々のものなのかな」みたいな雰囲気もあって、昨今では突然「第三列島線」とかいうハワイのところまで中国の影響下になるよ的な言論が出回り始めて言葉もないわけです。おい中国、どこまで出しゃばってくるねん。大国になった瞬間から大中華丸出しやないか。我が国ジャパンもどっぷり中華圏に入ってまうやんけ。

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アメリカをビッグブラザーとする世界体制の一員として

 日本国内においては、対米独立という勇ましい話もある一方、核軍備を持たない我が国の安全保障を考えたときに憲法第9条を掲げてアジアの覇権国家たらんとする中国に平和主義を説くだけでは日本の安全を守ることはできないし、日本の考え方、日本が培ってきた価値観、日本の経済力、日本人の財産や生命を守り抜くことはなかなかむつかしいでしょう、という議論はもう少し平易に世間でされるべきだと思うんですよね。

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 もちろん、世界に誇る平和憲法の象徴でもある憲法第9条をしっかり守りたいという人たちの気持ちも分かります。私たちは太平洋戦争のような悲惨で大義の乏しい戦争を繰り返して、補給が続かなくて戦死よりも餓死のほうが多いような悲しい歴史は二度と起こしてはならない、と思う人たちの考えにも寄り添う必要があると思うのです。戦争は駄目よね。絶対に。

 だからこそ、戦争を起こさないために、日本の安全保障を日米安保条約に依存して、事実上、アメリカをビッグブラザーとする世界体制の一員として戦後ずっと頑張ってきたのが日本です。アメリカとの関係が堅牢である限り、日本を脅かす勢力が出ないことは確実視でき、また、資源国ではない日本が海外から必要で充分な資源を輸入できる世界平和の状況を維持することは至上命題であり続けたことは言うまでもありません。