ぶつぶつと文句を言いながらダラダラと現状維持
しかしながら、戦後70年を超え、1990年代から昨今までの中国の台頭により、相対的に日本の国力が劣後してきたばかりか、少子高齢化を主要因とする低成長で世界的にも日本は魅力の乏しい国、技術革新を担えない国へと落ち込んできました。戦後復興を遂げた昭和後期の遺産を食いつぶし始め、もはや『衰退』という二文字を自覚せざるを得ないのが平成31年間の結論ではないかと思います。
それでも、日本人がこの地に暮らし、今後も日本社会をしっかりと次の世代に引き継ぐ責務を私たちは持っています。しっかりと働き、税金を納め、子どもを養い教育し、私たちの責任を全うしなければならないのです。いま日本に生きる一人ひとりが受け継いだ戦後から、令和に向けて何をしていくのか考えていかなければなりません。
そのためには、日本を生き残れるように作り替えていかなければなりません。いまのままの日本でこれからも安泰だ、と思う日本人はおそらくひとりもいないのに、我が国はいまだに高度成長時代につくられた財政、社会保障、地方自治などの仕組みそのままに来ています。すでに人のいなくなった地方自治体を取り潰すこともできなければ、借り手が減った地方の金融機関は耕す人のいなくなった土地に担保を設定して貸し込んだまま国債を買っています。ちょっと考えれば「そんなことではいけない」ことぐらい分かるだろうに。大丈夫なのかね。
そして、消費税しかり社会保障料しかり、国民の負担はこれからも重くなるわりに、国民に対するサービスの質は下がっていく状況のなかで、みんな起きる事件や問題にぶつぶつと文句を言いながらダラダラと現状維持をしてしまっている、というのが実際ではないでしょうか。
かなりガチで終わろうとしている平和な時代
そういう退廃と衰退の只中にある日本を取り巻く環境は激変しています。世界が平和であるからこそ、過去の日本経済の成長の遺産とも言える経常収支がいまなお日本の通貨を支え、必要なものを海外から買ってくる能力を維持し、またそれを可能にする世界的に平和な状況をもたらしてくれています。言うまでもなく米ソ対立の冷戦構造が終結したあとの「平和の配当」を享受している国のひとつが日本です。
そういう平和な時代が、かなりガチで終わろうとしているのが「令和の常識」かもしれません。単にトランプさんがヤバイというより、本当に中国がアジアにおける覇権国家になり、日本が日米安保を捨ててアメリカと中国の狭間で両大国の顔色を伺いながらうろうろするような国になってしまうと、もはや日本の香港化は止められなくなるでしょう。
中国本土への身柄引き渡しで、香港の自由は風前の灯|ニューズウィーク日本版
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2019/05/post-12154.php
民主主義を経験し、冷戦をイギリス統治下で長く過ごしてきた香港人は、もはや民主的な手続きが当たり前になり、透明で清潔な金融システムによる受益を果たして、アジアの金融拠点として独自の地位を確保してきました。ところが、中国へ返還され中国経済の成長とともに日本同様にその地位を低下させると、まるでソビエト連邦がフィンランドを影響下に置いたかのように取り込まれていく運命にあります。