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ゴールがさらに20kmぐらい延びてた

 いまの制度では65歳以上で受け取れる基礎的な国民年金は、40年間欠かさず保険料(2019年度で月16,410円)をアリのように納めていた人は月約65,000円(2019年度の場合)を貰える計算になります。約4倍のお金になって返ってくるように見えるわけですが、保険料を払っているいまと、将来受け取ることのできる時期には差があります。46歳の私の場合、もらえるのは20年後で、その間に年金支給額の減額やら受給開始年齢の引き上げやらが始まると、欠かさず保険料を支払っていた人でも「お前にはあげねえよバーカ」と言われて涙目になることが考えられます。

 ましてや、よっしゃ40年年金納めたぜ、65歳から憧れと興奮の年金ライフの到来や!と思っていたら、年金支給開始年齢が上がりました、これからは70歳から支給しますとかいきなり言われる可能性があるわけですよ。

 やったぜ長いマラソンを終えてゴールインと思ったらゴールがさらに20kmぐらい延びてたみたいなことが起きかねません。いまでこそ、70歳以上で受け取れるような選択制を検討している状態ですが、じゃあ私らが生きる今後の20年なり30年なりでさらに状況が悪化して、しかもみんな長生きしやがると「すまん、やっぱ年金支給開始は80歳にするわwww」「えーー……」みたいなことになるかもしれず、そうならないことを祈るんですけど万が一なったら困ります。

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公的年金を頼りにしていると、とんでもないキリギリス状態に

 一方、年金全体で見ると、40年間仮に真面目に保険料を納めているアリがいっぱいいたとしても、肝心のアリが長生きしてしまうとそれだけでダイレクトに年金基金は細ります。年金には「マクロスライド」といって、年金の保険料を払ってくれる若いアリさんの減少や平均寿命の伸びその他もろもろを加味して年金の給付金額を変動させるので、平たく言えば保険料を払わないキリギリスが増えると年金支給額は減額になって、アリもキリギリスも一緒に老後は貧乏になるというステキ仕様が入っています。

©iStock.com

 ただ、その代わり我が国の年金は健全です。なんてったって保険料が入らなくなれば、老人に年金を払わなくていい仕組みが完備されてますからな、わっはっは。

 なので、もとから公的年金を頼りに老後をエンジョイしようとか途方もないことを考えると、とんでもないキリギリス状態になります。それこそどこぞの新書で「お前らは『下流老人』だぞバーカ」とか煽られる悲しい老境を迎えるわけですよ。悲しいけど、あれはあれで事実ですからね。ただ、問題はアリも一緒に轟沈する可能性があるので、アリはアリで自衛のために「老後のためにお前らも遊興費ぐらいはちゃんと蓄財しておけ」と金融庁様にご高説を頂戴していることになります。

 まあ、事実だからねえ。

 しょうがないよねえ。