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連載クローズアップ

「その場で死ぬかもしれませんよ!」……財津和夫71歳がガンから復帰するまで

財津和夫(ミュージシャン、作曲家)――クローズアップ

2019/06/02

「もう二度とチューリップのステージに立てないかもしれない、と覚悟したこともありました。でも今、こうしてまたステージで歌うことができる。それが本当にありがたいし、自分がやれることはこれなんだなと思います」

 財津和夫さんに大腸がんが見つかったのは2年前のこと。ちょうどチューリップ45周年記念ツアーの最中で、6月以降に予定されていたコンサートは中止となった。

財津和夫さん

 回復を願うファンや関係者の祈りが通じ、幸いにして治療は成功。「くだらない冗談も言えるほど、今は快調です」と、ご本人は笑うが、がんだと知ったときの心中は察するに余りある。

「5月末、仕事先の福岡で意識がなくなるほどの腹痛に襲われたんです。救急病院での診断は腸閉塞。おそらく大腸がんによるものなので、すぐに手術したほうがいいと言われて……。東京に戻ってから手術をしたいと伝えたら、『飛行機なんかに乗ったら、どうなるかわかりません。その場で死ぬかもしれませんよ!』と強く反対されました。それを押し切って東京に移動したんです」

 無事に帰京、手術もうまくいったが、その後の抗がん剤治療はつらかったという。副作用で手足が痺れ、味覚や嗅覚にも影響が。何も口に入らず、すっかり痩せたが、それでも翌年春にはソロコンサートツアーに復帰した。

「『みなさん抗がん剤治療をやりながら働いておられますよ』と主治医に言われ、そうなのかと。だけど力は出ないし、足元もおぼつかない。坐ったままなんとか歌いましたが、ギターを持つ手も感覚がなかった。でも、お客さんは温かく迎えてくれて……。闘病中の励ましにも力をもらいました。人間はこうやって支えられているのだとしみじみ感じた。だからこそ、絶対に健康になってステージに立ちたいと思ったんです」