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オーナーと恋仲に いつしか解消していた“更年期怖い病”

 使い込んでしまった貯金の穴埋めをするべく、せっせと鶯谷のデリバリー店で働いていたRさんだったが、引退の日は案外早く訪れた。といっても、穴埋めが終わったというわけではない。

「働き始めて2~3カ月くらい経った時かな。その店のオーナーから『付き合って欲しい』と言われたんです」

 店を利用する客からは、「こんなキレイな奥さんと遊べるなんて嬉しい」などと褒められることが多々あった。それに、“女”を武器にする仕事で今でも30~40万円も稼げるという数字で見える評価もあった。そのことで、Rさんは女としての自信を徐々に取り戻していった。そんな矢先のことだった。

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「告白されたタイミングでお店も辞めて欲しいと言われました。しばらくは、食事をする程度の仲でしたが、1カ月くらい経って、私も彼のことをいいなと思うようになり、おつきあいを始めました。それでお店を辞めたんです」

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 デリバリー店での収入は、1日出勤すれば2~3人の客が付き、高額の収入も得られる。普通のパートで得られる金額ではないため、惜しくなかったといえば嘘になる。けれども、働いているうちに、いつしか“更年期怖い病”は治っていて、パチンコもしないで済むようになっていた。使い込み額にはまだまだ程遠かったが、20年ぶりに訪れた恋愛を大事にしたい気持ちが強かった。結局、「お金は後からでもなんとかなるだろう」と男性との交際を優先した。

 相手とはもちろん体の関係があった。おしゃれをして、映画を見るなどのデートをして、食事をして、ホテルに行く。ホテルでは、遊び慣れた男の扱いで、女として満たされる時間を持つ。そんな日を、週に1度程度持つようになった。

 働いていた時よりも暇な時間は増えた。けれども、パチンコ店に足を向けることはなかった。

「彼とは1年半くらいお付き合いしました。最後は自然消滅のような感じでしたね。でも、パチンコ依存が再発することはありませんでした」

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 その彼氏と別れた後、Rさんは再び大塚のデリバリー店で働き始めた。その間に、恐れていた更年期や閉経も迎えたが、難なく乗り越えられていたという。

 今でも少しずつ貯金の穴埋めをしている。けれども、稼がなきゃ、穴埋めしなきゃとがむしゃらになるのではなく、毎日を楽しめる範囲でマイペースに働きたいのだと話していた。その姿からは、10年前には「女として終わり」と思い込み、病気じみた生活を送っていたことは、まるで想像できなかった。