1ページ目から読む
7/7ページ目
Q7. 誰が彫っているんですか?
A7. 工芸官という職員です
「印刷局に所属している『工芸官』という職員です。印刷局の製品にはお札以外に切手や印紙などもありますので、そういったものも作っています。お札に関してはおよそ20年に一度、晴れの場があるので、そこを目指してずっと鍛錬をしているのです。彼ら工芸官の間で『針研ぎ3年、描き8年、美蘭咲くのは18年』という言葉があります。美蘭(びらん)というのはビュランという特殊な彫刻刀で、美しい蘭の花を彫れるようになるのに18年かかる、という意味です。熟達するのにはそれだけ時間がかかるということですね」
――彫る方はいま何人ぐらいいるんですか?
「たくさんはいないですね。何人いるかということは申し上げらないんですけれど……。誰が彫ったかということは秘匿情報です。私がお札を彫りましたなどと取材を受けるケースも、これまで聞いたことがないですね。偽造されにくいものを作るという目的もあり、明らかにしてしまうとリスクにはなりますので、そこは秘密ということにしてください」
新紙幣が世に出るのは、2024年。実際どのような紙幣になるのだろうか。
写真=松本輝一/文藝春秋