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「サラリーマン」を馬鹿にして駄目な知識を吹き込む、オンラインサロンとかいう魔境

もっともらしいことを教典にする新興宗教をやっとるだけなんですよ

2019/06/14

「起業家精神とは」と喧伝する海千山千のサロンオーナー

 もちろん、キラキラした輝く瞳で未来を熱く語る優れた若者が起業するのは素晴らしいことだと思いますよ。そういう将来有望な人は心から応援したい。しかしながら、実際にこの世の中で起きていることは、そういう嘴の黄色い、社会経験の乏しい起業家を食い物にする海千山千のサロンオーナーであって、起業塾をやったりスキルアップサロンとかを開いてカモが流れてくるのを待っているわけですよ。

 ある程度、社会経験のある人同士が情報交換を目的にサロンをやるのは分かるんですけど、起業家として成功したわけでもない人や、場合によっては金商法違反で逮捕されたような奴が前に出てきて「ベンチャーとは」とか喋っているのは鼻水が出るぐらい滑稽なことだと思うんですよね。特に、起業した直後は誰もが不安だから、みんなどうしても物事を断定的に言い切ってくれる人にすがりたくなるし、いざというとき支えてくれる人脈が欲しくて、ついお金を払っちゃう。情報商材を買えば人生が拓けるのではないかと思い込みたくなる。

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 でも、人生に特効薬なんて、ないのです。

 そこで起きていることはスキルのない人がスキルのない人の愚痴を聞いているだけだったり、サロンの主宰者が思いつきで始めたことを無給で手伝わされたり、出した本を無理矢理買わされてAmazonで☆5つけたレビューを書くことなんですよ。それでいて、外向けには偉そうに「起業家精神とは」とか喧伝するものだから、うっかり煽られると、つい「そんな会社に俺はいていいのか」「私にはもっと羽ばたける場所があるはずだ」と感情を揺さぶるようなことを思い込まされてしまう。

騙されていることに気づかず、喰い尽くされた後で呆然とする

 目の前に成功者だと自己演出する人がいて、周りもチヤホヤおだてているものだから、何も持っていない、これから頑張ろうという人は自称成功者を前にして焦る。俺はこのままでいいのか、会社勤めで消耗していないかと。そりゃそうですよね、カモが会社に居続けられたら困るわけですから。

 結果として、起業家を育てるとか、オンラインサロンだとか、新しい教育機関だとか、情報商材だとか、スキルアップだとか騒ぐのは、普通に働いているまともな人に「俺の人生はこのままでは駄目だ」という疑念を吹き込み、お金は要らない、新しい働き方だ、などと景気よくもっともらしいことを教典にする新興宗教をやっとるだけなんですよ。

 そして、小さな新興宗教で集めたカモを信者にして取り巻きを作り、新興宗教の他の宗派とぐるぐるカモを回し合って、何度でもセミナーに来させ、本を売り、タダみたいな経費で成り立ってるオンラインサロンで月額課金する。

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 挙句には、たいした仕事にもならないMBAを取らせて適当にOB会をやり、偉そうな人を集めてきていかにも自分はそういうところの仲間入りをしたのだという勘違いをさせる。選ばれた人だけが集まれるイベントだと題されたところに招待状がくれば、みんな舞い上がると分かっていて騙しているわけですよ。