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「サラリーマン」を馬鹿にして駄目な知識を吹き込む、オンラインサロンとかいう魔境

もっともらしいことを教典にする新興宗教をやっとるだけなんですよ

2019/06/14

 そして、使い捨てるべきタイミングになると「お前が成功できなかったのは、俺の言うことをきちんと最後まで理解できなかったからだ」と突き放す。そこまでやられて、騙されていたことにようやく気付くんですよね。

 騙されて会社を辞めてしまった、思い込んでお金を払ってしまった、安心してやっていけるコミュニティに入って人脈が得られると思ったら無給で使い走りをさせられた、役に立たないMBAを取らされた。だいたいそういうことに気づくまで、お金、というより大事な人生の時間を無駄にして、目的も見定められないままに遠回りをし、喰い尽くされた後で呆然とすることになるのです。

いつしか自身のTwitterアカウントは宣伝ばかりに……

 たいていの場合、やらかしたことに気づいた後も「彼の言っていることは正しかったのだ。お金を使ってしまったのは間違いではなかった」と自分を慰め、無理やりにでも納得させるモードに入るんですけど、左翼かぶれの金髪であれ地方で消耗している変人であれ、自分ひとりで何かを作る能力がないので、自分よりも優れた地位のある人を自分のメディアに呼んできて話したり書かせたりイベントをしたりして、自分の箔付けに利用しているだけなんじゃないかと思うんですよね。

 そこに熱量さえあれば集まってきた人はいっとき満足してくれるかもしれませんが、いつしか自身のTwitterアカウントは宣伝ばかりになり、一生懸命オールを漕いでいるような状況になるわけですよ。

©iStock.com

 そりゃ人と人とが集まる組織で働いていればストレスもあるだろうし、自分はこんなものじゃないという自負もある人たちはたくさんいるでしょう。いずれ組織を出て自分の会社を持ちたいとか、キラキラ輝く人たちとお近づきになり千万、億円単位の出資を貰って華々しくテッククランチとかに「増資しました」とドヤ顔腕組みで写真に納まりたいと思うでしょう。

「常識を疑え」と洗脳しようとする人こそ、程度の低い教祖

 そういう華やかなことができる世界に入るためには、社畜を否定したりそれっぽいことを言う人のオンラインサロンに入らなければ人脈が得られないと思い込むのは、仕方のないことなのかもしれません。

 でも、思い返してください。「会社なんて辞めろ」とか「働き甲斐を考えろ」とか「常識を疑え」などと洗脳しようとする人こそ、程度の低い教祖でしかないかもしれないということを。そして、煽られて舞い上がり、浮かれて会社を辞めてみてはじめて「こんなはずじゃなかった」とならないといいな、と強く思います。

 つまりは、自分自身の人生なのに、自分で何をしたいのかがよく分からないから誰かに何かを断定的に言われて不安に思ったり、焦ったり、動揺する人こそ、オンラインサロンによる新興宗教のカモになるんですよね。身分不相応の高級腕時計つけた人がマルチ商法まがいで都会に出てきたばかりの田舎者を引っ掛けるのと同じぐらい、ネット慣れしていない人が煽られている魔境が辛いです。

INFORMATION

 ついにこの日が来てしまった……。文春オンラインの謎連載、特にタイトルがあるわけでもない山本一郎の痛快ビジネス記事が待望の単行本化!

2019年5月15日発売!!

 その名も『ズレずに生き抜く 仕事も結婚も人生も、パフォーマンスを上げる自己改革』。結婚し、出産に感動するのもつかの間、エクストリーム育児と父父母母介護の修羅を生き抜く著者が贈る、珠玉の特選記事集。どうかご期待ください。

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