トランプ大統領はどこか神妙で、どこか嬉しそうだった
実際のところ、天皇、皇后両陛下、エリザベス女王やフィリップ殿下などの英王族を前にした同大統領には、ふだんのしかめ面した顔つきは消え、どこか神妙で、どこか嬉しそうな無邪気な様子が明らかに見てとれた。
同大統領にとって日英両国は、いずれも2度目の訪問だった。日本には2017年11月、英国には翌2018年7月訪れているが、いずれも公式訪問。最初の英国訪問では、エリザベス女王の先を歩いたり、お辞儀をしなかったりと、作法を破って国内外から酷評された。今回、英紙テレグラフは、ボディーランゲージに詳しい専門家に取材し、「トランプ氏は前回に比べて非常にリラックスしていた。堂々とした振る舞いからは、作法を勉強してきたことが窺える」との談話を引き出している。好意的に見れば、最初のときは緊張していたのだろう。
「上皇、上皇后両陛下はいかがお過ごしですか」
2年前に同大統領夫妻が日本を訪れたときは、先の天皇、皇后がお住いの皇居・御所で接遇し、懇談した。帰りがけ、両陛下が車寄せまで見送ると、同大統領は皇后に「メラニアは皇后(美智子妃)を大変尊敬しています」と語った。このときの思い出があったのだろう、5月27日午前、皇居で行われた歓迎式典のあとの宮殿での懇談で、同大統領は天皇に「上皇、上皇后両陛下はいかがお過ごしですか」と尋ねた。新天皇は「両陛下はお元気です。大統領によろしくとのことでした。上皇陛下は、天皇陛下として象徴としての役割を全身全霊で果たしてきたので、今は少しゆっくりとした時間を過ごしています」と答えている。
また天皇が前日の相撲観戦の感想を聞くと、「長い伝統があり、大変力強く素晴らしかったです。陛下は相撲をよくご覧になるのですか」と逆に尋ねた。「大統領が昨日ご覧になったほど近くでは見ません」との天皇の答えに笑いが起きた。