6月13日(現地時間6月12日)、ラスベガス(アメリカ、ネヴァダ州)にて行われているポーカー世界選手権(World Series Of Poker=WSOP)にて、日本から出場した池内一樹さんが準優勝した。賞金は83万ドル(約9010万円)。
今年のWSOPでは合計89のイベントが開催される予定で、池内さんが参加したのはそのうちの一つ、「ミリオネア・メーカー(イベント#19)」。種目は、現在もっとも人気があるノーリミット・ホールデムだ。参加費1500ドル(約16万円)のトーナメントに8809人が出場していた。
WSOPの優勝者には、賞金に加えて記念品のブレスレットが贈られる。日本人3人目のブレスレット・ホルダーになる夢は惜しくも叶わなかったものの、日本人過去最高額となる賞金を獲得した。巨大なフィールドで快進撃を果たし、まだ興奮冷めやらぬ池内さんに話を聞いた。
今年は「嬉しい」が9割です
――準優勝おめでとうございます。まず一夜明けての率直なお気持ちをお聞かせください。
池内 うっすらとした幸福感、高揚感が続いています。自分の力が通用したという手応えを感じ、次の挑戦に向けてワクワクする気持ちです。
――池内さんは、昨年もWSOPのチームイベントで2位の成績を収めています。2年連続のファイナルテーブル(決勝卓)進出、そしてヘッズアップ(最後に優勝者を決める1対1の対戦)となりました。今回は「嬉しい」と「悔しい」の比率としては、どんな具合でしょうか。
池内 去年の準優勝の時は悔しさ、がっかりした気持ちが9割でした。少人数になった時の戦い方がまだ未熟で、優勝者にそこを突かれてしまったからです。
今年は「嬉しい」が9割です。去年の悔しさを糧に、少人数戦を戦う準備をしてきました。細かいミスはあるものの、全体としては良いプレイができたので悔しさはあまりないです!
妻に「今年のWSOPはどうする?」と聞かれて……
――ポーカー大会は他にいくつもありますが、池内さんにとってWSOPは何が特別なのでしょうか。
池内 実は5年前、軽い鬱にかかったことがありました。漫画も、映画も、お笑い番組も、子どもと遊ぶのも、そしてポーカーも、人生において楽しいと感じることが何もなくなっちゃったんです。病院に行ったらうつ状態と診断されました。
そんな時、妻に「今年のWSOPはどうする?」と聞かれたんです。僕は「行っても行かなくても……どっちでもいいかな」と答えました。何に対してもまったく楽しさを感じない僕が、WSOPにだけは飛行機を乗り継ぎ、片道17時間かけて行く価値を感じていることに気づきました。
『HUNTER×HUNTER』という漫画で、強力な王が死を待つ時間に望んだのは、好敵手とゲームで戦うこと。そして「そうか 余はこの瞬間のために生まれてきたのだ……!」と気付くシーンがあります。僕も自分にとってWSOPは本当に特別なものだと気付いたんです。ちなみに鬱は薬飲んだら1ヶ月で治りました。普通にウキウキでWSOPに乗り込みました(笑)。