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昨年9月、電子書籍の取材にもご協力いただいた。©文藝春秋
朗読劇『遠き夏の日』に込めた反戦の想い

 ’05年には自身の代表作であるミラーマンの変身ポーズの名前からとった劇場「スタジオ・シアター・スパーク1」を作り、後進の育成にも力を注いだ。自ら原作・脚本を手がけ、そのスパーク1で初演したステージ『遠き夏の日』は、以降、舞台朗読劇として再構成され、今年も大阪・東京で公演が決まった。

 本作は、第二次世界大戦末期の神風特攻隊の若者たちを主人公に、彼らの群像劇を描いている。戦死した許嫁を想い、純愛を貫いて戦後を生き抜いたひとりの女性の姿で、物語はしめくくられる。『ミラーマン』最終回でも主人公の京太郎は、宿敵インベーダーを倒し地球の平和を守り抜いたにもかかわらず、もうひとつの祖国である二次元の鏡の国の復興のため、ミラーマンに想いを寄せるヒロインに別れを告げ旅立った。石田さんは、当時の『ミラーマン』に携わったスタッフがこの最終回に託した「反戦」「純愛」のメッセージを病身の自分になぞらえ、この作品につなげたのだろう。

 来たる8、9月には川﨑麻世主演での本公演が予定されており、石田さんも登壇予定だったが、それはかなわぬ夢となってしまった。2月のプレ公演時には満身創痍の身で会場に足を運び、自ら役者たちに演技指導。その気迫と熱い役者魂に、俳優陣は終始圧倒されていた。

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 石田さんの“演技”という仕事にかける情熱、妥協を許さない姿勢。『遠き夏の日』に込められた反戦へのメッセージを重く受けとめることがなにより大切なこと。

「またやっつけりゃいいんだろ」という気持ちで、闘病しながら俳優活動を続けた石田さん ©文藝春秋

 またひとり、昭和の名優が天昇された。ありがとう。平和の戦士「ミラーマン」。

 

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