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レディコミで自分の性的嗜好を知る

 ところが、女性の場合、性にすら興味がない人がいる。では、性欲に火をつけるには、どうしたらよいのか。ヒントになるのが、前述したオランダの医師によるオーガズム実験である。

 簡単にオーガズムに達することができる女性は、早い年齢から性的なものを体に刷り込んでいる。つまり、自分の性的な嗜好をきちんと把握しているため、性欲のスイッチが入りやすく、興奮のプロセスをスムーズに移行できる。一方、

「セックスに興味を持てない女性は、自分の性的嗜好がわかっていない人が多い」と、宋氏は言う。たとえば、未完成婚やセックスレスの女性たちから、宋氏はこう聞かれる。

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「セックスって、何がいいんですか?」

「じゃあ、どんなジャンルに興奮します?」と問い返すと、「ジャンル? わかりません」と即答される。性についての糸口が見つからないため、会話がそこで途切れて、診察室はシーンとなる。そこで、宋氏はこんな宿題を指示する。

「今日、コンビニでレディスコミックを買って、次回までに全部読んで、どのシチュエーションで興奮したかを教えて下さい」

©iStock.com

“脳内オカズ”を蓄積する

 この宿題が実は効果がある。宋氏はこう言う。

「レディコミにはいろんな性描写があります。興奮するシチュエーションがまったくないことはない。少しでも脳内がムラッとくるジャンルが見つかると、その“脳内オカズ”を少しずつ蓄積してもらい、関心度を高めてもらうのです。男性が昔のお気に入りのアダルトビデオを、脳内オカズとして蓄積して、時々引き出すのと同じやり方です」

 それまでベッドの上で夫婦で裸になってはみたものの、どうしていいかわからず、お互いの性器を触っても雰囲気が下がるばかりだった人たちが、徐々に変化を見せるようになった。

「カップル・カウンセリングの一番のポイントは、今まで二人が面と向かって言いにくかったことを、私を通して一人ずつ話を聞くので、どうしたらいいかポイントをまとめやすい点です。お互いの性的嗜好がわかれば、寝た時にプレイしやすい。このカウンセリングが最も役に立つのが、セックスレスの症例です」

 こうしたプロセスを経て、ある日、宋氏の診察室に来た女性がこう告げた。

「生理がこないんです」

 セックスレス外来に通う女性で、彼女は妊娠していたのだ。「めっちゃ、嬉しそうだった」そうで、宋氏も「いい子を産んでね」と声をかけたという。