厚生労働省が2017年に発表した統計によると、日本人の平均寿命は男性「81.09歳」、女性「89.26歳」と、過去最高を更新し続けている。「人生100年時代」と言われるなか、「QOL(生活の質)」の向上は、現代人にとってますます重要な課題となっている。中でも性生活は、人間らしい暮らしを送る上で避けて通れないテーマだろう。人は何歳までセックスできるのか――かつて「週刊文春」で話題を呼んだ本企画は、これからを生きる現代人にとっても示唆に富む。あらためてここに公開する。
※「週刊文春」2012年8月9日号より転載。記事中の年齢や日付、肩書き等は掲載時のものです。
性欲は「強弱」ではなく「体質」である
一晩に何度も射精やオーガズムを繰り返すことができる男女がいる。精力や性欲の強さの象徴として羨ましく語られがちな話だが、本当にそうなのだろうか。
「性」の現象は、強いか弱いかというモノサシで比べられることが多い。しかし、
「そもそもそれは強弱ではなく、体質なんです」
と言うのは、日本中医薬研究会の山岡聡文元会長である。
「一晩で何度もという人もいれば、1回のセックスが睡眠薬のように、深く眠りに落ちる人もいる。あるいは、閉経後に急に元気になる女性もいれば、性交がイヤになる人もいる。大事なのは、その人の体質に合った対処をすることです」
人間の体質は、8つのタイプに分けられることをご存知だろうか。
体質理論は東洋医学の基本中の基本で、その人の体質に応じて、起こりうる病気を防ぐ「未病先防」という概念がある。生きていくうえで重要な理論のわりには、「8つの体質」は案外知られていない。後述するが、これは国策が原因だ。
さらに、東洋医学の中でも体質から見る「性」の話は、あまり表では語られていない。そのため、山岡氏はこう言う。
「中医学(中国医学)でも裏の話だから、我々は略して“裏中”と呼んでます」
では、人はそれぞれどういう体質を持っているのか。まずは自分の体質を無視したばかりに、体質改善で大失敗したケースから紹介しよう。