厚生労働省が2017年に発表した統計によると、日本人の平均寿命は男性「81.09歳」、女性「89.26歳」と、過去最高を更新し続けている。「人生100年時代」と言われるなか、「QOL(生活の質)」の向上は、現代人にとってますます重要な課題となっている。中でも性生活は、人間らしい暮らしを送る上で避けて通れないテーマだろう。人は何歳までセックスできるのか――かつて「週刊文春」で話題を呼んだ本企画は、これからを生きる現代人にとっても示唆に富む。あらためてここに公開する。(前編より続く)

※「週刊文春」2012年8月9日号より転載。記事中の年齢や日付、肩書き等は掲載時のものです。

精力復活に無難なのは「ショウガ」

 人間の精子は約35度で形成される。2度違うと、精子をつくる能力が落ちてしまう。37度の体温から2度冷やす目的のため、精子をつくる睾丸は体の外にぶら下がっている。

 80年代には、精巣の温度上昇から病気になるのを防ぐために、精巣を冷やす器械が考案されたこともあったほどだ。

 ちなみに、健康に目覚めたサンプラザ中野くんは、越中ふんどしを愛用していると言う。

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「下半身を締め付けるボクサーパンツは、体の水分の流れを悪くする。僕が使うのは工業用大麻でできたふんどしです。綿よりも吸湿性が良く、免疫性がアップするというし、勃起の妨げにもなりません。麻だけに朝勃ちにいい(笑)」

 一方、正常な体温を保てない陽虚体質は、下半身が冷えやすい。そのため、精力をつけるには、唐辛子など刺激のあるものがいいと、山岡氏は言う。

「カレーも刺激があるからいい。無難なのは、生姜です。生姜は汗をかかせるのではなく、腹を温める。風邪薬で知られる葛根湯は、内臓を温めるのではなく体表を温める。どこの何を補うかという組み合わせを考えるのが漢方なのです」

興奮過多による「精巣オーバーヒート」は病気を引き起こす

 山岡氏は中国で10年以上漢方の修行をして、40年間この漢方に携わっているが、男性不妊症やEDなど「性」の相談に来る男性は、圧倒的に陰虚の人で、陽虚は皆無に等しいと言う。

「精力が強いと思っていた人が、できなくなって来る。それは陰虚の人たちで、興奮過多だからリラックスさせる薬を出します。精を溜めさせて、きちんと必要な時に出させるのです」

 実は、オーバーヒートになりがちな陰虚体質は、世界的に問題化している。インターネットのポルノサイトを見続ける中毒者だ。

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 イギリスでは依存症を克服するためのカウンセリングが始まり、アメリカでは自慰中毒が脳に悪影響を及ぼすのではないかと指摘され始めた。これを漢方医に言わせると、もっと怖い。

「精巣がオーバーヒートして熱を帯びると、前立腺肥大など前立腺の病気になる。これは女性も同じで、膣の温度が上がると、バイ菌が増えて膣炎になりやすくなります」(山岡氏)