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通用しない、もうダメやな……元日本代表・久保竜彦が引退を決めたあの瞬間

“ドラゴン”久保竜彦インタビュー#3

2019/07/21

「いまはなんも決めてないし、決まってない」

――室積に来てから1年、塩づくり、畑仕事のほかに、これからはどんなことを。

久保 いまはなんも決めてないし、決まってない。サッカーの仕事が入るときは入るし。まあ、ごちゃごちゃ言われない面白い仕事だったら入れて。

 いまは、移動できるトレーラーハウスみたいなものをつくる手伝いもしています。いずれ、牛島に自分の家を自分の手でつくりたいという夢もあるので、勉強するつもりで、これから少しちゃんとやってみたいなと思ってます。家を自分でつくって、のんびりしたいな、と。

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 もともと小学校のときからいろいろつくってはいたんです。鶏小屋もつくったし、カブトムシや犬の小屋もつくったし。父ちゃんがガラス・サッシ店やったから、だけん、道具とかクギや材料がいろいろそろっているんですよね。鶏小屋では、祭りで買ってきたヒヨコやインコを育ててたのかな。

「自分で獲って、捕まえて、食ってというのは、気持ちいいな、と」

ーー陶芸も始められました。

久保 ここにバレリーというフランス人が住んでいて、彼女が陶芸をやっていて、そこに工房があるけんって言われて、おお、と思って始めたんです。まだ、5、6回ですけど、何個か焼いたやつはあります。黒や茶色で。でも、やっぱり難しいですね。自分で魚を釣るようになって、料理を自分の焼いた大皿の上にのっけて出したり、というのができれば面白いですね。

 そんなふうに、いまは、とにかく勉強勉強で。勉強になりそうなところへ寄せてもらって、いろんな人に教えてもらいながら、興味があることをやらせてもらっている感じですね。

 こっちに来てから思い出したんです。やっぱり、自分で獲って、捕まえて、食ってというのは、気持ちいいな、と。自分の手と足と頭を使ってやるのが気分いいんです。 これからも気分よくいられるところにずっといたいし、相手も気持ちいいし、自分も気持ちいいみたいなところにいたいですね。自然の中で、山も人間もどっちもいいようになる、自分中心にならず、トゲが出ないよう、そんな感じで気持ちよく生きていきたいですね。

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写真=榎本麻美

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